2009年10月2日金曜日

本を読むことは


今日はいいことがありました。同僚の2人と、左右社から同時に出すことになっている本のうち、管啓次郎さんの新著、『本は読めないものだから心配するな』が完成したのです! 帯の言葉はこうです;

読書の実用論  /  潮を打つように本を読みたい

わたしもまだ4分の1ほどしか読んでいませんが、なんといえばいいのか、その文章の凝集度は、驚くべきものです。整然と、しかもうねるように、読者を歓迎しているのは確かなのに、一度文章の呼吸に入り込むと、もう翻弄されるしかありません。そしてそんな風に翻弄されるのが、気持ちいいんです!

とはいえ、翻弄されっぱなしでもない。時に立ち止まり、忸怩たる思いを味わい、快哉を叫び、あるいは考え込むことになります。

また形式的にも、なかなかに斬新。まず目につくのは、目次がない(!)こと。文章は、「潮を打つように」進んでいきます。そしてもう1つの面白い試みは、見開き左ページの左肩には必ず、1,2行の警句(?)が現われています。そしてそのセリフは、どれも当該見開きページの1部分なのです。たとえば;

はじめての旅は、きみが六歳でも六十歳でも、おなじように起こりうる

一端がひらいたままになっている回路の中で、
翻訳という、待機にも似た作業がつづく

人は心が傷つけられるのを恐れるあまり、
心からもっとも遠いことがらだけを語りつづける

本を買うことは、
たとえばタンポポの綿毛を吹いて風に飛ばすことにも似ている

このタンポポが本屋さんで飛ばせるようになるのは、今月15日です。ぜひ手にとってみてください。まずは、素晴らしい本の完成、メデタシメデタシ!!