2021年12月25日土曜日

今年の3作(1)

今年見た作品の中で、
ベスト3を選ぶという企画、
これを twitter の「総合芸術系アカウント」でやろう、
っていう話になっているんですが、
ここで、わたしの分を、
先行発表しちゃいましょう。
(字数は、twitter に合わせてあります。)

*************************************

2021・映像作品、ベスト3

ベスト1は、スペイン・ドラマ『ペーパー・ハウス』。圧倒的なドライブ感と、人物たちの魅力。そして韓国ドラマの『ハイエナ』は、ヒロインの生き方も、隠れテーマも強烈。またご存じ『シャン・チー』は、力と力ではなく、新たな原理を生きる可能性を、萌芽的にせよ示したのではないでしょうか?


『ペーパーハウス』:「人を傷つけない」強盗団が、貨幣制度の権化である造幣局を占拠し、ボニー&クライドとは別のタイプの英雄になる物語。警察側も含めた群像たちは、偉大と卑小、歓喜と悲嘆、そして変幻する美の化身です。セリフもほろ苦く、パルチザンの音楽も嵌まってる。サイコー!


『ハイエナ』:地べたを這いつくばって生きてきた女性キムと、エリート判事の息子チュ。この二人の弁護士の、アンビヴァレントな恋の物語。それはとりわけ、キムの大胆な行動力によってドライブされるのですが、驚くのは、父親殺しのテーマ。父親たちが迎える「死」は、家父長主義の死なのです!

 

『シャン・チー』:帝国主義的で、所有と支配に取り憑かれた男と、自分の心身に耳を傾け、その希望を生きようとする女。この二人を親に持つシャン・チーは、暴走する「力」と向き合ったとき、行動原理の選択を迫られます。その答えは、これまでのマーベルとは違う地平を示しているように思えるのです

********************************************************


実は、『ペーパー・ハウス』は今2周目の最中、
というか、今日、見終わる予定です。
登場する女性たち、つまり、
シングル・マザーで刑事であるラケル、
やはりシングル・マザーであるナイロビ、
衝動的で野性的なトーキョー、
まじめで純情なモニカ、
妊娠中の女王様アリシア、
トランスジェンダーのマニラ、
ピアニストで強盗のタチアナ……
驚くのは、彼女らがみんな、
それぞれに魅力的なことです。
主人公だと言ってもいいトーキョーは別格だとしても、
年齢もオリエンテーションもバラバラな女性たちを、
これだけ魅力的に見せただけでも、
たいへんなことだと思います。
BEST 1 は、『ペーパー・ハウス』です。