今日は曇りがちなのに暖かい東京でした。
さて今日は、ウェブ・デザイナーを目指している若き友人が、東京TDC(Type Directors Club)のデザインフォーラムに参加し、その様子を教えてくれました。彼女は中村勇吾(ユゴップ)を崇拝しているので、彼と中村至男による「ダブル中村」の対談に注目していました。至男さんは、ポスターなどを中心に活動しているようです。受け売りでご紹介いたします。
至男さんは、なんというか、もう動かしようのない完璧さ、を求めると言います。そう、ボードレールの詩「美」にも、そんな一節がありましたね。(Je hais le mouvement qui déplace les lignes, ... 「わたし」は、「美」です。)それは、たとえばポスターの場合なら、むしろ当然のことなのでしょう。こんなとこでいいか、という仕事じゃあ、ね。
それに対してユゴップは、なんというか、自分は一つの装置を用意して、それを色んな人が色んな風にいじってくれて、そうやってどんどん「成長」してゆく、そういうものを目指したい、だから自分には、「完成」というのは無縁だ、と考えているそうです。
なるほど。それもよく分かりますね。特に、ネット上の仕事なら、双方向的というか、出来上がったものを提供するというのではなく、ぐるぐる回ってダイナミックに動き続けるというのは、相当に魅力的です。ユゴップはきっと、それを本気で考えて、仕事という形にしているのでしょう。すごいですねえ。
当たり前のようですが、やはりどういうメディアを使うのか、印刷物なのかネット上なのかインスタレーションなのか、によって、目指す形は違ってくるのでしょう。そして時代も、変化してゆく……
ただ、至男さんも、友人たちからは、なにか双方向的な可能性を探ったら、と言われているそうです。そして会場から、「ネット上のような残らないものだけではなく、『残るもの』を作りたいとは思わないのか」と訊かれたユゴップは、言下に答えたそうです、「残るもの」に興味はない、と。
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さあ、今週末から授業です。だんだん緊張してきました!(でもない)