2013年10月16日水曜日

je vais bien ne t'en fais pas

今日の台風、午後は大丈夫かと思いきや、
結局終日休講となり、
家で見たのは、

je vais bien ne t'en fais pas

19歳のリリ、
彼女がスペインでの語学研修から戻ると、
双子の兄の姿がありません。
「出て行ったの、パパとひどい喧嘩をして」とママ。
でもリリは、あんなに仲良しだった兄がメールの返事さえくれないことに苦しみ、
食事がとれなくなります。
「このままでは、死んでしまいます」と(ちょっと単細胞そうな)医者。
そこに、兄から手紙が届きます。
それを見て、次第に元気を取り戻すリリ。
兄からの手紙は、フランスの各地から届きます。
そしてやがて、兄を探しに行く決心をするリリ……
(このあとアッという展開があるのですが、それはお楽しみということで。)

http://www.youtube.com/watch?v=O0FLwIp8FLo

主役のメラニー・ロランは、
ふつうな感じで、中性的で、きれい。
評判通りです。
フランスでは、「演技陣がいい」という評価ですが、
さもありなむ。

この映画でもう1つ印象に残るのは、
主題歌。
失踪した兄が作ったという設定の「リリ」という曲です。
演奏は、Aaron。

http://www.youtube.com/watch?v=j8g3S4Nm_1o

歌詞が、内容とぴったり。

ところでこのメラニーは、wiki どによれば、
パリ9区育ちのユダヤ人だそうです。
両親は、アシュケナジムとセファラッドで。
で、彼女の祖父は、収容所から生きて帰った人だとか。
9区と言えば、「カデ地区」あたりですね。

日本版は、『マイ・ファミリー 遠い絆』
監督は、『君を想って海をゆく』のフィリップ・ノワレです。

◆追記
この映画のテーマは、
親子関係、ということになるのでしょう。
失踪した兄と父、母、
その後、一人暮らしを始める娘と父、母、
「空き部屋が2つもあるのは耐えられない」と、
ブルターニュ移住を提案する父……。
現実的に考えれば、
この父母とは意見があいませんが、
彼らの「愛」はもちろんわかる。
そのあたりを、押し付けがましくなく描いているところが、
この映画の美点なんでしょう。

また、リリの友人に、6歳年上で、
「Bac +5」という高学歴で、
モザンビーク出身の女性がいます。
(学歴問題も、映画の背景にはっきりあります。)
リリと彼女は、Shopi というチェーン・スーパーでバイトをする仲間でもあります。
(Tout ce qui brille では、このスーパーで「イケテル」パーティーが開かれました。)
で、
このアフリカ出身の女性が故郷に帰ることなり、
閉店したスーパーの一角で、お別れの乾杯をあげるシーンがあります。
いろいろ意識の低い店長(白人、60歳台、肥満気味)は、
モザンビークとズールー人を同一視し、
白人優位主義的視点からしか話せません。
だから彼女は、「俺も招待してくれよ」という彼対して、
「それは無理。だってズールーは、太った白人を食べる習慣があるから」
と微笑むのです。