今日の台風、午後は大丈夫かと思いきや、
結局終日休講となり、
家で見たのは、
je vais bien ne t'en fais pas
19歳のリリ、
彼女がスペインでの語学研修から戻ると、
双子の兄の姿がありません。
「出て行ったの、パパとひどい喧嘩をして」とママ。
でもリリは、あんなに仲良しだった兄がメールの返事さえくれないことに苦しみ、
食事がとれなくなります。
「このままでは、死んでしまいます」と(ちょっと単細胞そうな)医者。
そこに、兄から手紙が届きます。
それを見て、次第に元気を取り戻すリリ。
兄からの手紙は、フランスの各地から届きます。
そしてやがて、兄を探しに行く決心をするリリ……
(このあとアッという展開があるのですが、それはお楽しみということで。)
http://www.youtube.com/watch?v=O0FLwIp8FLo
主役のメラニー・ロランは、
ふつうな感じで、中性的で、きれい。
評判通りです。
フランスでは、「演技陣がいい」という評価ですが、
さもありなむ。
この映画でもう1つ印象に残るのは、
主題歌。
失踪した兄が作ったという設定の「リリ」という曲です。
演奏は、Aaron。
http://www.youtube.com/watch?v=j8g3S4Nm_1o
歌詞が、内容とぴったり。
ところでこのメラニーは、wiki どによれば、
パリ9区育ちのユダヤ人だそうです。
両親は、アシュケナジムとセファラッドで。
で、彼女の祖父は、収容所から生きて帰った人だとか。
9区と言えば、「カデ地区」あたりですね。
日本版は、『マイ・ファミリー 遠い絆』
監督は、『君を想って海をゆく』のフィリップ・ノワレです。
◆追記
この映画のテーマは、
親子関係、ということになるのでしょう。
失踪した兄と父、母、
その後、一人暮らしを始める娘と父、母、
「空き部屋が2つもあるのは耐えられない」と、
ブルターニュ移住を提案する父……。
現実的に考えれば、
この父母とは意見があいませんが、
彼らの「愛」はもちろんわかる。
そのあたりを、押し付けがましくなく描いているところが、
この映画の美点なんでしょう。
また、リリの友人に、6歳年上で、
「Bac +5」という高学歴で、
モザンビーク出身の女性がいます。
(学歴問題も、映画の背景にはっきりあります。)
リリと彼女は、Shopi というチェーン・スーパーでバイトをする仲間でもあります。
(Tout ce qui brille では、このスーパーで「イケテル」パーティーが開かれました。)
で、
このアフリカ出身の女性が故郷に帰ることなり、
閉店したスーパーの一角で、お別れの乾杯をあげるシーンがあります。
いろいろ意識の低い店長(白人、60歳台、肥満気味)は、
モザンビークとズールー人を同一視し、
白人優位主義的視点からしか話せません。
だから彼女は、「俺も招待してくれよ」という彼対して、
「それは無理。だってズールーは、太った白人を食べる習慣があるから」
と微笑むのです。