2013年10月20日日曜日

Omar m’a tuer


1991年当時、
とても大きな話題となったフレーズ、それは

 Omar m’a tuer

今回見たのは、
このフレーズがそのままタイトルとなった作品です。

http://www.youtube.com/watch?v=kJgaF1pPAG4

ある裕福な夫人が殺され、
その現場に、このフレーズが血で書かれていました。
彼女の家に出入りする庭師、おまーる・ラシッドが逮捕され、
結局7年服役することになりました。
が、
彼は一貫して無実を主張。
モロッコ出身の庭師は、フランス語の読み書きが苦手。
取り調べにもうまく対応できませんでした。
そして問題は、
このフレーズには文法的な誤りがあること。
ご婦人が書いたのなら、当然、

 Omar m’a tueée.

とならなければなりません。
でも、死の間際に、そんな性・数一致をする余裕はなかったとも考えられ……

監督はロシュディ・ゼム。
作品は、オマールが無実だという立場で作られています。
つまり、現代の「ドレフュス事件」だと。
その点については、わたしに判断できるはずもありませんが、
印象としては、ゼムの主張に分がある気もします。
ただ重要だと思われるのは、
今や人気俳優と言ってもゼムが、
あえてこの素材で作品を作ったこと。
当然ですが、彼は「アラブ人」としてのアイデンティティーを生きています。

映画として、特別すぐれているとは言えないかもしれません。
(十分いい作品ですが。)
でも、これを作っておくことは、まちがいなく価値があると思います。

上の画像は、2010年にパリに行ったとき、
メトロで見つけたものです。