2020年12月26日土曜日

Roubaix, une lumière

アルノー・デプレシャン、
先日見た彼の『あの頃エッフェル塔の下で』は……だったのですが、
今日、彼の新作、

Roubaix, une lumière (2019)

を見てみました。
というのも、出演者の中に、

ロシュディー・ゼム
レア・セドゥ
サラ・フォレスティエ

の名前があったからです。
すごいメンバーです。

Roubaix は、北フランスの、
リールよりもさらに北、
ベルギーとの国境の街です。
映画の中のセリフを借りれば、
フランスの大都市の中でもっとも貧しい、
ということになります。
アルノー・デプレシャンはこの街の出身で、
他の作品でも、このRoubaizx が登場していました。

ロシュディー・ゼムは、この街の警視です。
アルジェリア系で、
彼以外の家族は故国に戻り、
彼だけがここに残っています。
いくつもの事件が起きます。
その一つ一つが、
現代の Roubaix の置かれた位置を物語っていて、
おもしろいです。
そこに絡む端役の人たちもなかなかいいです。
中でメインになるのが、老婆の殺害事件です。
そしてその容疑者となるのが、
すぐ近くに住む女性カップルであり、
それを、レアとサラが演じているわけです。

ただ、この女性二人は、
いわば「汚れ役」と言っていいでしょう。
あの華やかな役をこなしてきた二人が、
ここでは、陰にこもった、すさんだ生活を生きる女性を演じています。
もちろんそれでも、
ふたりにはある種の美しさがあるし、
監督はそれに気づいています。

この3人は、素晴らしいです。
特にゼムは、いつもながら。
なので映画自体も魅力的でした。
街のうらぶれた感じも、底冷えのように、
足元から這い上がってきます。

ただ、これはマズイんじゃ?
とはっきり感じる演出もありました。
それは、着任したばかりの刑事が、
モノローグの形で手紙を読む場面です。
とても不自然。
視点がぶれて、混乱します。
これはもうきっちりと、
ゼムの視点で行くべきだったと思います。
それがなければ、
かなりいい作品だったのに、と思います。

*とここまで書いて、
実は日本版DVDが出ていることを知りました。
『ダブル・サスペクツ』
です。


そしてアマゾンのレヴューは低いですが、
それはチガウでしょう。
わたしなら、★★★★☆ です。