2020年12月21日月曜日

『キューティーズ』


Netflix を散策していて、
おやこれも「パリ郊外」? ということで見てみたのが

『キューティーズ』(2020)

です。


原題は Mignonnes で、
「可愛いもの(物/者)たち」なんですが、
実際は、劇中に登場するガールズ・ダンス・グループの名前です。

舞台はパリの北、のようです。
(途中、ラ・ヴィレット公園が出てきます。
「郊外」と書きましたが、もしかしたら、
ギリ「パリ」なのかもしれません。)
ヒロインは11歳の少女、アミ。
セネガル系の移民で、
母親、小さい弟、そして赤ちゃんとの4人暮らしです。が、
ここに、
セネガルから父親が戻ってくるというのです、
第二婦人を引き連れて。
アミは、自分もそれがイヤだし、
母親も実は深く傷ついていることを知っています。

そんなある日、住んでいる団地の洗濯室で、
同じ学年のアンジェリカが、
Hip Hopに合わせて踊っているのを見かけます。
そして…… あっという間にダンスの虜になります。
家庭内の、古いしきたりと、
Hip な生き方は当然齟齬をきたし……
というお話。

アミを含め、少女たちは可愛らしい。
激しい喧嘩もするし、
言葉は汚いし、
スマホは盗むし…… なんですが、
やっぱり、健気なんです。
ガールズ・ブループは(一応)4人で、
セネガル系のアミ、
アラブ系のアンジェリカ、
アフリカ系のクンバ、
白人のジェス、です。
思い出すのはやっぱり、これです。


ちなみにこの『キューティーズ』は、少女たちの描き方が、
over sexualisation 
なのではないかと、
特にアメリカのライト側から批判が上がりました。
それに対して、監督も Netflix も反論しました。


大人の(「セクシーな」)女性のマネをすればするほど、
成功に近づける……
少女たちがそう信じ込まされる状況こそが問題だ、
というわけです。
つまり少女たち、少なくともアミは、
家父長的は伝統主義と、そうした資本主義の退廃との板挟みなのだ、
ということになります。

たしかに少女たちは、
その意味も知らないまま、
性的な行為を模倣した動きをダンスに取り入れてゆきます。
健気、と書きましたが、
その健気さそのものが、仇ともなっているわけですね。

そう考えてくるとこの映画、
単なる伝統主義と自由主義の板挟み、を描くことから、
大きく一歩、踏み出しているのかもしれません。
新しいです。