佐藤泰志原作、山下敦弘監督、高田亮脚本の、
『オーバー・フェンス』(2016)
も見ました。
2016といえば、『シンゴジラ』と『君の名は』の年です。
これはもう、いい映画だったな、という余韻が残る作品でした。
離婚して、東京から函館に戻った男は、
大手ゼネコンをやめた今、
職業訓練校に通っています。
「壊れてる」と自分を呼ぶ若い女性は、
昼間は遊園地(動物園?)で、夜はパブで働いています。
この二人が、
奇妙な出会い方をし、
奇妙は関係をもつれさせていく物語です。
ただ、二人にとって関係を深めることは、
そうでしかなかった、と感じられてきます。
そこが、いい映画である理由なんでしょう。
印象的なエピソードもいくつかあるし。
ラスト近く、ラスト近く、
女性が、動物園の動物たちを逃がそうとするシークエンスがあります。
けれども、ハクトウワシだけは、
その鉄格子のケージから出ようとしないのです。
そしてその格子の向こうには、
あの男の顔が見えるのです。
男もまた、囚われているのです。
でもなにに?
それは、家族や、愛や、親子とも呼ばれることのある、
深い「幻想」のようにも見えてくるのです。