いわゆる「函館3部作」。
順に
『海炭市叙景』
『そこのみにて光り輝く』
『オーバー・フェンス』
の3本です。
2作見たので、3本目も見ることにしました。
(順番的には、3,2,1の順で見たことになります。)
で、今回見たのは、
『海炭市叙景』
3作の中では、
いわゆるストーリー的には、一番ゆるく作られていますが、
もともと「叙景」とあるので、
むしろ当然と感じられました。
わたしはこういう感じ好きです。
(小説の場合の、
断章形式まではいかないんですが。)
そして多くの登場人物たちの中には、
例の、
壊す男と壊れた女、
も登場します。
ただここでは、男も女も、
それについての自覚が(おそらく)ない。
そこが、他2作と決定的に違うと感じました。
つまりこの作品の人物たちは、
自意識が低めというか。
そこもわたしは好きでした。
また、父親と息子、という組み合わせが、
少なくとも4組、登場します。
(父親であり、子でもある人物も1人います。
それが壊す男です。)
そして、なんということでしょう、
どの父子もうまくいっていません。
(『そこのみにて~』にも登場した場所は、
すでにこの映画で撮られていました。
螺旋状の階段。
大きな電光の広告。)
そしてこの映画では、
汽笛の音も良かった。
(まったく調べてませんが、
汽笛がよかったというコメントは、
多分とても多いのだろうと想像しています。)
わたしたちなどは、
つい『ペペ・ル・モコ』のラストを思い出してしまいますが。
というわけでわたしは、
3作の中ではこれが一番好きでした。
(小林薫、『ふぞろいの林檎たち』から、
ほとんど変わらないなあ、
と思いました。)