2018年1月26日金曜日

『アヴァ』


今日は、2時間50分(!)という会議を含め、
業務もろもろをこなした日でした。
まあ、そんなことはともかく。

MFFFの3本目を、昨日から今日にかけて見てみました。

『アヴァ』

です。

https://www.youtube.com/watch?v=6jv1Ab6bx1I

「海辺でヴァカンスを過ごす13 歳の少女アヴァ。
視力の低下が思いのほか早く進行していること、
失明する日も近いことを、医師から宣告されている。
母親は、人生でいちばん美しい夏を過ごそうと、
まるで何事もなかったかのように振る舞う。
アヴァは自分なりのやり方で運命に向き合う。
そして、逃走中の若い男が飼っていた、
大きな黒い犬を連れ去る…。」

これ、とてもよかったです。
若い女性監督の、
長編第1作ということですが、
瑞々しく、鮮烈、と言っていいと思います。
映像もいい感じ。
撮影は、Montalivet です。

https://www.youtube.com/watch?v=3T3DLRPm4og


ヒロイン・アヴァを演じる ノエ・アビタ は、
役どころは13歳なんですが、
現実には、撮影当時、18歳だったようです。
(見終わるまで知らなかったので、
完全に13歳のつもりで見ていました。)
なんと言っても、この少女、
「意地悪なのでカレシができず」(←本人曰く)、
「冷たい」(←母親曰く)この少女が、
魅力的でした。

1つのストーリー・ラインは、
この少女の眼が、どんどん見えなくなってゆくその過程、
そしてそれに対する彼女の態度です。
そしてもう1つが、
彼女と、ロマの少年(18歳) Juan の、
「恋」とは言えないある関係の深まり、です。
(さらにサブ・ラインとしては、
母親との関係も重要でしょう。)

Juan は、少しだけかつてのアラン・ドロンを彷彿とさせる俳優で、
女性を巡る三角関係に起因する喧嘩から、
ロマのキャンプを追い出された身です。
この追い出された Juan と、
進んで家庭を離れたアヴァが、
頼りない逃避行を試みるわけです。
そりゃまあ、おもしろくなりますね。

民族的に言うと、
アヴァの母親はヨーロッパ系に見えますが、
アヴァ自身は、非ヨーロッパ系の血が入っているように感じます。
(映画に、父親は登場しません。)
そしてアヴァの母親のカレシ・テテは、アフリカ系。
Juan と、彼を取り巻く人間たちは、ロマの人たちです。

そして……

逃避行の真っ最中、
ある時アヴァが、陽光の降りそそぐ、
でも人気のない道端で、
大きな石に登って踊る場面があるんですが、
これが切ない。
また、踊るアヴァを見ている Juan の表情もとてもいい。


そして、この場面で流れるのが、
おお、Amadou & Mariam の、これなんです。

https://www.youtube.com/watch?v=NRtQmqqfdoc

アヴァは、歌詞に合わせてこう言います。

Cherie, je m'adresse à toi.      ねえ、あなたに言ってるの
Avec toi, cherie la vie est belle.    あなたといれば、人生って素晴らしい

でも Juan は、この歌を最後まで歌わせてはくれないのです……

こんな風に、少女が踊る場面て、
実はけっこうありますが、
これは印象に残るものの1つになりました。

(ちなみに、1番印象に残っているのは、
このときの「ダイヤモンド」です。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/06/bande-de-filles.html )

次回作が楽しみな監督です。