2018年11月12日月曜日

『ゲリラ』

「国家崩壊への三日間」
という副題を持った、
『ゲリラ』(ローラン・オベルトーヌ)
という翻訳小説を読んでみました。

舞台はパリ郊外。
警官が、郊外の荒れ果てた町で「ワル」に取り囲まれ、
殺されそうになり、ついに発砲し、射殺してしまいます。
これが、「国家崩壊」の引き金になります。

小説の前半、
いわゆるフランス的語彙が、
日本語として現れるのが新鮮で、おもしろかったです。
「ファシスト」とか「共同体」とか「多文化主義」とか、
これらは、日本で使ったときとかなりコノテーションが違う言葉です。
もちろん、フィクションですから、
誇張があるでしょうけれど。
翻訳も読みやすかったです。

ただ、後半になると、
なんというか、陰惨な描写が多く、
小説の構造としても、ぎくしゃくしている印象。
また、知的に深いかと言えば、
それは『服従』ほどではありません。
厳しく言えば、B級アメリカ映画的かもしれません。

そしてこういう本は、
パリの地図が付いていると、
もっとわかりやすいと思いました。