2018年11月9日金曜日

Les mauvais joueurs 

先日見た『海辺の詩人』は、
イタリアを舞台に、
福州出身の女性と、
ユーゴ出身の男性の交流を描いていました。
これは、
ヨーロッパにおけるアジア、
という視点からも捉えられる作品でしょう。

パリにおけるアジア、
ということなら、
『パリ移民映画』でとりあげた『恋々風塵』もそうだし、
『エキゾチック・パリ案内』でとりあげた、
『パリ・ジュテーム』の中の「ショワジー門」もそうです。
『パリ、ただよう花』も忘れるわけにはいきません。
そして、登場人物たちの中にアジア人がいた、
という程度で言うなら、
これはもう数えきれないほどです。
(Steve Tran はとてもたくさんの映画に出演しています。)

ただこれらの作品は、あくまで
ヨーロッパにおけるアジア、
であり、
アジアから見たヨーロッパ、
ではないわけです。
こういう視点に立つなら、
ジャ・ジャンクーの『世界』などが気になるところです。

今回見たのは、

Les mauvais joueurs (2005)

です。


この映画は、
サンティエのユダヤ人社会を舞台にしているんですが、
主人公の恋人を演じたのは、
リン=ダン・ファン。
彼女は、『インドシナ』、『真夜中のピアニスト』、
そしてTout ce qui brille にも出てました。
ユダヤ人の恋人にアジア系を持ってきたのは、
わたしの知る限り、
この映画だけです。
(アラブ系の男性とユダヤ人女性、
という組み合わせは、
Rengaine にありました。)

サンティエに暮らすチンピラ3兄弟。
長兄(シモン・アブカリアン)と末弟は、
アジア人女性たち
(人身売買的に移民してた女性たちです。
『海辺の詩人』のリーの場合と似ています。)
を使って洋服屋や中華レストランを経営する組織に加担し、
主人公である次兄(パスカル・エルベ)は、
もう首が回らない父親の生地屋を手伝い、
そして時には3人集まって、
路上でイカサマ博打を開いたりもします。

物語は、
リン=ダン・ファンの弟が不法にパリに到着したことで、
動き始めます。
この無鉄砲な少年を庇ううち、
次兄は、組織と対立する羽目になるのです。
ただ……

この作品は、
映画としてのデキはよくありません。
B級、と言っていいのでしょう。
音楽のセンスもイマイチだし、
場面ごとの時間の配分が間違っている感じです。

パリのユダヤ人社会とアジア系シンジケートの関係、
これが扱われている点は(わたしから見れば)◎なだけに、
残念です!