ラシュディ・ゼム、
タハール・ラヒム、
マイウェン、
この3人が出ているとなれば、
ストーリーなど関係なく、
もう見るしかありません。
Le Prix du succès(2017)『成功の代償』
https://www.youtube.com/watch?v=moGQmedTdkk
アルジェリア系の兄弟、
兄とムラッドと弟ブライム。
ショウビズの世界で、
ユモリスト(ピン芸人?)として成功しているブライムと、
そのサポートをする兄は、
彼らの家族を含め、
強いきずなで結ばれていました。が、
ブライムに恋人ができ、
すると当然それなりのプライヴァシーが欲しくなり、
一方、前科もあるムラッドは、
羽目を外して騒いだり、
あまり発展性のない仕事を取ってきたり、
シャン・ゼリゼにレストランを開きたがったりと、
なかなか面倒な存在になってゆきます。
で、
恋人からの提案を受け入れ、
ブライムは、新たな演出家と組むことを選びます。
おもしろくないのはムラッドです。
彼は、ブライムの恋人にちょっとしたけがを負わせたり、
演出家を襲ったりと、
荒々しさが抜けません。
こうして、兄弟の間に深刻な亀裂が入ってしまい……
というお話。
いわゆる「ハートウォーミング」にも、
「予定調和」にもなっていない点が、
この映画のいいところでしょう。
大げさに言えば、
「成功」と「挫折」の人間的な意味を探っている、
ということなんでしょうけど、
そこには、それほどの深さはなくて、
やはり、「家族」の問題のほうに、
力点があるようです。
いくつかいいセリフがありましたが、
その1つは、マイウェンのものでした。
ブライムに家族を紹介されたんですが、
その時あまり歓迎されなかった。
そのことをブライムが謝ると、
彼女は言うのです、
Ça va. Je suis pas en sucre. (平気。わたし、か弱くなんかないから。)
直訳は「わたしは砂糖でできてるわけじゃない」。
フランスの女性、という感じですね。
そしてロシュディ・ゼム。
やっぱり彼はすごいです。
ダメダメな兄貴を演じて、
ここまで存在感があるっていうのは、
ただものじゃありません。
タハール・ラヒムも好きですが、
まだ、ゼムの域には達していないかな、
という印象でした。