アラブ系の好きな俳優といえばロシュディ・ゼム、
そしてヨーロッパ系なら、
やはりヴァンサン・ランドンです。
まあ彼の場合、今や「名優」となってしまいましたが。
彼が主演した最新作、
EN GUERRE (2018)
を見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=qOB9mroJ1zU
なんとこの映画、
プレス用素材として、
インタヴューなどと一緒に、
全シナリオがネット上で見られます。
http://diaphana.fr/wp-content/uploads/2018/04/asc658-en-guerre-diaphana.pdf
ただ、
これはおそらく、後から起こしたものなんでしょう。
というのも、
どうもきっちりしたシナリオはなくて、
ほとんど即興のセリフだったようだからです。
プロの俳優もランドン一人だけです。
(これは、今回と同じブリゼ監督による
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』
の時と同じ試みです。
こちらはAmazon Primeも日本版もアリ。)
物語は、単純と言えば単純です。
ドイツに本拠を置くグローバル企業が、
フランスのアジャンにある工場の閉鎖を決めます。が、
実は2年前、
この工場で働く労働者と会社の間で、
ある取り決めが交わされていました。
週40時間働くけれど給料は35時間分、
ボーナスはカット、
その代わり、工場は少なくとも5年存続させる……
けれども今、会社はこの約束を反故にし、
1100人の労働者を解雇しようとしているのです。
労働者たちはこれに激しく抵抗。
本社の社長との話し合いを要求し、ストに入ります。
フランス政府やメディアも巻き込み、
大きな問題に発展しますが、
一方で、ストが長期化するにつれ、
組合内部でも意見の対立があり……
というお話。
世の中に、
ドキュメンタリー風の映画というものは多いですが、
これほどドキュメンタリーを見ているような気持になる作品は、
初めてでした。
テーブルに座っての交渉、
という場面も多いのですが、
その熱気に引き込まれました。
ヴァンサン・ランドンの主演作の中でも、
印象に残るものとなりました。