全16話、やっと見終わりました。
<ネタバレあります>
これはまあ、
ある「居酒屋」を起こし、
それが大きく成長する過程を描いているのですが、
同時に、その居酒屋の設立メンバー5人の群像劇、
という風に理解することもできるでしょう。
そしてこの居酒屋がライバルとお思い定める、
外食産業の雄の存在も欠かせません。
設立メンバーの中に、
トランスジェンダーが含まれていること、
またここに、韓国人を父親に持つギニア人青年が加わることは、
多様性の表現としては単純ですが、
それでも一定の効果を生んでいると思います。
で、
このシリーズの最大の魅力であり、
支柱とも言えるのが、
イソという女性です。
彼女は「ソシオパス」として登場するのですが、
一人の男性を愛し始め、
別の顔が現れてきます。
彼女は彼に言うのです、
わたしが幸せにしてあげる、と。
これは、新しい女性に見えます。
実は、このイソという女性がいなければ、
『梨泰院クラス』とは、
いわば古めかしい、
無駄にマッチョな男たちによる、復讐の物語に過ぎません。
にもかかわらず、イソの存在が、
こうした古い定型と拮抗することで、
いわば複線的な物語の結構が作られていくのです。
そういう意味では、このイソこそが、
主人公なのだと言えるでしょう。
15話、16話あたりは少しゆるくなり過ぎましたが、
全体としては、おもしろいと思いました。
実際、とても評判もいいようです。
ただ、これは根拠のない想像ですが、
この『梨泰院クラス』を褒める多くの人(特に男性)たちは、
古いマッチョな部分に共鳴しているんじゃないのでしょうか?
その点が、ちょっと気になります。