2020年9月15日火曜日

『梨泰院クラス』終了

 全16話、やっと見終わりました。


<ネタバレあります>

これはまあ、

ある「居酒屋」を起こし、

それが大きく成長する過程を描いているのですが、

同時に、その居酒屋の設立メンバー5人の群像劇、

という風に理解することもできるでしょう。

そしてこの居酒屋がライバルとお思い定める、

外食産業の雄の存在も欠かせません。

設立メンバーの中に、

トランスジェンダーが含まれていること、

またここに、韓国人を父親に持つギニア人青年が加わることは、

多様性の表現としては単純ですが、

それでも一定の効果を生んでいると思います。

で、

このシリーズの最大の魅力であり、

支柱とも言えるのが、

イソという女性です。

彼女は「ソシオパス」として登場するのですが、

一人の男性を愛し始め、

別の顔が現れてきます。

彼女は彼に言うのです、

わたしが幸せにしてあげる、と。

これは、新しい女性に見えます。

実は、このイソという女性がいなければ、

『梨泰院クラス』とは、

いわば古めかしい、

無駄にマッチョな男たちによる、復讐の物語に過ぎません。

にもかかわらず、イソの存在が、

こうした古い定型と拮抗することで、

いわば複線的な物語の結構が作られていくのです。

そういう意味では、このイソこそが、

主人公なのだと言えるでしょう。


15話、16話あたりは少しゆるくなり過ぎましたが、

全体としては、おもしろいと思いました。

実際、とても評判もいいようです。

ただ、これは根拠のない想像ですが、

この『梨泰院クラス』を褒める多くの人(特に男性)たちは、

古いマッチョな部分に共鳴しているんじゃないのでしょうか?

その点が、ちょっと気になります。