2020年9月2日水曜日

The Eddy 2

 まあこの The Eddy の話は、

詳しく書くとすごく長くなってしまうので、

備忘録的なメモとして書いているんですが……。


というわけで、

バンドのメンバーの民族は多様です。

ただこれは、最初からそれを意図したというより、

キャスティングの過程でそうなっていき、

どうせならこの多民族性を表に出そう、パリだし!

と発展したんじゃないかと想像しています。

で、

出演者の来歴を示すことも、

監督たちのそれを確認することもできるのですが、

まずは wiki からこれをコピペします。

通算
話数
タイトル監督 脚本 放送日
1"エリオット"
"Elliot"
デイミアン・チャゼルジャック・ソーン2020年5月8日
2"ジュリー"
"Julie"
デイミアン・チャゼルジャック・ソーン2020年5月8日
3"アミラ"
"Amira"
ウーダ・ベニャミナジャック・ソーン2020年5月8日
4"ジュード"
"Jude"
ウーダ・ベニャミナジャック・ソーン, Rachel Del-Lahay, Rebecca Lenkiewicz2020年5月8日
5"マヤ"
"Maja"
Laïla Marrakchiジャック・ソーン2020年5月8日
6"シム"
"Sim"
Laïla Marrakchiジャック・ソーン, Hamid Hlioua2020年5月8日
7"カタリナ"
"Katarina"
アラン・プールジャック・ソーン, Phillip Howze, Rebecca Lenkiewicz2020年5月8日
8"ジ・エディ"
"The Eddy"
アラン・プールジャック・ソーン2020年5月8日

わたしが注目したいのは、

3,4話を監督したウーダ・ベニャミラです。

このモロッコ系フランス人の女性監督は、

あの Divines を撮った人です。

http://tomo-524.blogspot.com/2017/01/divines.html

第3話での、イスラム式「納棺の儀」(と言っていいんでしょうか)は、

厳かで、よかったです。

(ただし、たとえば第4話で、

パレ・ロワイヤルで出会った二人が、その直後のシーンで、

ベルシーの河岸にいるのは「?」でした。

遠すぎるでしょ?

そしてこれは全体に関わることですが、

The Eddy という店の場所が、rue de Gravelle 

(Google Map で簡単に見つけられました) 

であるのに対し、エリオットのアパルトが、

51 rue de Belleville であるのも、

ちょっと離れすぎな感じがしました。

この辺りが、「パリ映画」としてはちょっと弱いです。

空間については、音楽に対してほど、

意識が向いていないようです。)


それから、5,6話を監督したレイラ・マラケシは、

なんといってもこれですね。

http://tomo-524.blogspot.com/2015/04/rock-casbah.html

彼女もまたモロッコ系です。

つまりこの The Eddy は、

才能ある若手を抜擢したわけですね。


そして最後に、ああ、それだったのね、

と感じた、エリオットと娘の会話を確認しましょう。

父は言うのです、

「パリにも黒人の歴史はある」

と。

そしてそれに続けて、

パリで活躍したアメリカ人、ブリックトップ、

https://fr.wikipedia.org/wiki/Ada_%C2%AB_Bricktop_%C2%BB_Smith

トランぺッターのアーサー・ブリッグス、

ジョゼフィン・バケール、たちの名を挙げ、

クラシック音楽ではなく、

彼らこそが自分たち黒人の「クラシック」なのだと語るのです。

ただし、

監督の出発点はそこに在ったとしても、

出来上がった作品はきわめて多民族的、多文化的なものであり、

そのおかげで、この作品はより「現代的」なものになりえたのだと思います。

(作品が、監督の意図を越えた例だとも言えるでしょう。)