物語上の主人公、パク・セロイ君を巡る、
二人の女性。
わたしは、イソに肩入れしていたんですが、
今日、別の用事で連絡をとったある先生は、
完全にスア派でした。
ここで、二人の見方が激突!
そのメールのやり取りの一部を、
ご紹介いたします。
もちろん、完全にネタバレですので、ご注意を。
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(スア派で、パク・セロイ君はマッチョなんかじゃない、という先生に対して)
パク・セロイは、わたしも基本的には好感が持てます。誠実だしね。
最初の4話くらいは、あまりに単純なキャラ設定だと思っていましたが、
実は投資もしていた、というあたりから、彼が多層的に見えてきました。もちろん、彼の「苦い夜」には同情を禁じ得ないし。でも、彼をドライブしているのは復讐なんですよね。その達成のためには、弱さは見せない、苦い夜も見せない、わけですよね?それからラストあたりでも、警察に通報する前に自ら乗り込んで、1対1で対決って、完全に任侠もの。しかも、ヤクザ上がりの部下は、単独で行動した時は警察に通報したのに、その後セロイと行動するときには、任侠の論理を取り戻しているわけなので、やっぱりセロイ=任侠の論理、に見えてしまいます。弱さは見せない、復讐、任侠…… マッチョじゃない!?それから第5話って、あの、イソがスアのほっぺを挟んじゃうやつですよね?そうですか、あそこはわたしは、ナイス! と思って見てました。わたしからしたら、そもそもスアが長家の奨学金を受け取るのも違和感あるし、就職するなんて考えられない。なんでわざわざ、セロイの父親を殺した組織に就職?でまた、それを許容するセロイ君もイマイチ理解しづらい。で、スアはセロイ君に、好きにならないで、と言いながら、なにかと絡んでくる。だから振り回されてるのはむしろセロイ君のほうで、スアは自分の利益に忠実な「悪女」的なんじゃ?もちろんセロイ君のほうでも、復讐の後じゃないと幸せになれない、と言って、スアを待たせはしたんだけど、スアも、いつでも、長家を辞めて、セロイ側に加わることだってできたはずだと感じちゃいます。それよりも、いい車といいマンションの入手を優先させたわけだから、大学を捨てたイソとは生き方が違う。イソと違って、スアはセロイ君のために、何もしなかった気もするし。(むしろチャン・デヒをサポートすることで、結果として邪魔してたわけです。内部告発者になるのは、ほぼほぼ長家が落ち目になって、勝負がついてから、だし。)最後も、別のスポンサーを見つけて店を出し、存分におしゃれして、新たなイケメンにときめきながら、イソに対してはセロイをよろしくって、余計なお世話! と感じました。だからわたしとしては、やっぱり、セロイ君の腕の傷が話題になる、あのイソとのラヴシーンが、一番グッときたわけです。
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(これに対して)
清岡先生がそんなにスアを憎く思っていたなんて…… かわいそうなスア!
スアは、セロイみたいに超人的な信念の力を持っていない、
とても人間的なキャラクターだと思いました。
親に捨てられて育って、誰にも精神的には頼らず(セロイのお父さんは特別ですが)、
荷物もセロイに持たせず一人で走り切って合格する、そういう女性なんですよ。
もっと評価してあげてください。
自分を一番大事にして、とにかく必死に生きるからこそ、
セロイに手を差し伸べる余裕がないから何も与えられない。
セロイの魅力はまさにそれを許容するところです!
泥臭い生き方をしていて、まぶしいセロイと自分を比べたら自分の価値は低い。
そんな自分を好きでいてくれるというセロイの気持ちを信じきれず、
何度もためしてしまう。
結局、何をしても気持ちが揺るがないと言っていたはずのセロイは離れていって、
自分は置いていかれる。
それでは彼女の人生があんまり可哀想だから、
イケメンシェフが与えられるけれどこれは気休めに過ぎず、
彼女はきっと影のある感じでまた一人で歩き始めるのです……。
一方イソはソシオパスとは言え家庭環境は割と良かったようなので
「私たちは人の温もりを知らない」というほど可哀想ではなくて、
自己肯定感の強い女の子なので、余裕があるからセロイに与えられる。
健気な自己犠牲は、最後報われたから良かったものの、
だんだん「おしん」感が出てきます。
エンディングに近づくにつれ、セロイの人物像は崩壊しますが、
イソも全然ソシオパスじゃなくなっていくので、
最後のドラマはやめて欲しかったです。
自分の足で自分の道を必死に歩く同士か、
代表を必死に支える女かということで、
どっちも不器用で必死なのはわかるのですが、
私は前者に共感するということですかね。
自分の人生を取ると愛を失い、
愛を貫いて自分の人生を失いかけるという対比がなければドラマになりませんが、
本音はどちらも追わせてあげたい……。
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わたしとまったく違う見方なので、
とっても刺激があって、おもしろかったです!
とっても楽しいですね、こういう「論争」は。
(ただやっぱり、ふだんスアが見せる「上から」な態度には、
釈然としないものが残るのですが……。)