2013年2月7日木曜日
『サン・ジャックへの道』
コリーヌ・セローの2005 年の作品、
これは国内版DVD が発売されている『サン・ジャックへの道』を見てみました。
(内容とは関係ないのですが、このDVDは4935 円。
一方フランス語版は 6,6 ユーロ=850円 程度。
いくらなんでも、と思うのは、わたしだけじゃないでしょう。)
世にロード・ムーヴィーなるものが存在し、
わたしは一般にそういう映画が好きですが、
この『サン・ジャックへの道』は、
まさにロード・ムーヴィー以外の何物でもありません。
母親の遺言により、
フランス中部のル・ピュイから、
スペインの西海岸、サンチアゴ・デ・コンポステーラまで巡礼する3 兄弟を描きます。
ただし、彼らには旅の仲間がいます。
ガイドの中年男性、(病気のためか髪を失っている)中年女性、
そして高校生の女子2 人、
そしてアラブ系の男の子2 人です。
まったく紹介になってない予告編。
http://www.youtube.com/watch?v=PwURsx36SQc
ちなみにフランス語の原題は、
Saint-Jacques… La Mecque
なのですが、これはアラブ少年のうちの1人、
ディスレクシアの少年が、
「サンチアゴ・デ・メック」(メック=メッカ)に向かうのだと信じているから。
(上の画像、C の字が三日月になってます。)
つまり、キリスト教徒イスラームの聖地が、
ぽんと抛り出すように並置されているところに、おもしろさがあるのですね。
このニュアンス、日本語タイトルでは意識されていませんが。
もちろん、サンチアゴはレコンキスタの象徴でさえあり、
アラブ人にとっては「聖人」とは考えにくいと想像されます。が、
コリーヌ・セローはあえて楽観を提示しているようです。
この巡礼を扱ったものといえば、
もちろん、ブニュエルの『銀河』が思い出されます。が、
これは見たのが20 年前?くらい。
あの、ちょっとメキシコ時代を思わせる暗い画面の雰囲気以外、
ほとんど覚えていません。