2013年2月6日水曜日

LIFE, ABOVE ALL


オムニバス映画『パリ・ジュテーム』には、
「お祭り広場」という短編が含まれていました。
ナイジェリアからの移民青年が、暴漢に襲われるお話です。

この作品の監督が、南ア出身のオリヴァー・シュミッツ(1960-)。
今日は彼の近作、

LIFE, ABOVE ALL

を見てみました。
ヨハネスブルク近郊の村に暮らす12歳の少女、チャンダ。
彼女を主人公にした映画です。

映画の冒頭は、チャンダの生まれたばかりの妹の葬式です。
チャンダの父は死に、新しい父親は町で飲んだくれています。
今チャンダは、病気の母、幼い妹と弟と暮らしています。

村では、この赤ん坊の死を、母親が呪われているからだと噂します。
飲んだくれ男も、俺のタネはいいのに! と触れ回ります。
追い込まれた母親は、やがて肉体と精神を病んで行き、
子供たちを隣人のミセスに預け故郷へ帰りますが、
実はここでも厄介者扱いに。
別の事情で母親を探しに行ったチャンダはその事実を知り、
母親を連れて帰ります……

http://www.youtube.com/watch?v=H8cMjWE9BK4

この予告編でもある程度は感じられると思いますが、
映像の鮮烈さは、群を抜いています。
(わたしはDVD で見ました。)
色彩、明暗のコントラスト、構図、動き……
こんなに力強く、生き生きとしていて、なおかつ静かな映像は、
めったにない気がします。
(素人の分際でこんな言い方もなんですが。)
だからこそ、108分を見通すことはできましたが、
映画の作りとしては、(わたしの感覚では)かなり重い。
小説などで言ういわゆる「風通し」がないというか。
主人公のチャンダは賢く、タフで、やさしい子です。
でも、彼女が微笑む場面が少なすぎると思います。
山田太一なら、彼女を見つめる同級生の男の子を、
もっと彼女に接近させたでしょう。
もちろん、わたしの感覚で言っているにすぎないのですが。

YouTube に全編版があります。
(画質はあまりよくありませんが。)