2013年9月15日日曜日
L'Autre Côté de la Mer
台風が近づく今日見たのは、
L'Autre Côté de la Mer
です。
目当てはラシュディ・ゼムだったのですが、
残念ながら、そんなに入り込めませんでした。
この映画でポイントになる年号は、
1830、1962、1992、です。
さあ、これはどんな繋がりが?
1830=フランスがアルジェリア侵入・占領。
1962=アルジェリア独立。(=独立戦争の終わり)
1992=クーデタ。→アルジェリア内戦へ。
というわけです。
で、
映画内の「現在」は1992で、
アルジェリア独立後もかの地にとどまっていたピエ・ノワールのジョルジュが、
フランスに戻ってくるところから、物語は始まります。
(独立時にフランスに帰還した妹たちとは、
30年ぶりの再会ということになります。)
戻って、と書きましたが、実は彼は、
そのまま(内戦を避けて)フランスにとどまるのか、
それとも経営するオリーヴ・オイルの工場のために引き返すのか、
決めかねています。
内戦とは言うものの、
金持ちのピエ・ノワールですから、
命を狙われる危険も相当に高いわけです。
で、ゼムは、
ジョルジュが受ける白内障の手術を担当する外科医。
フランス生まれフランス育ちで、
むしろジョルジュのほうがアルジェリアには馴染んでいるという、
不思議な逆転が起きます。
物語はこの後、
ジョルジュの仲間や、
アルジェリアの役人なども絡み、
ジョルジュの工場の奪い合いになります。
そしてその背景で、内戦は進み……というわけです。
印象に残ったのは、ゼムの、
「あいつはアラブだけどいいやつだよ、なんて言われたくて生きてるわけじゃない」
というセリフ。
映画自体はともかく、
ゼムはやっぱりいいですね。
*アルジェリアの税関係の役人のセリフ、
「おれは裸足で小学校へ通った。
HLMに住むのが夢だった」
は印象に残りました。
HLMは、しばしば「スラム」なんて言われますが、
鉄筋の高層ビルです。
あれが「スラム」だというところに、逆に、
ヨーロッパ的豊かさを感じます。