土曜日、今日見たのは、
L'Union sacrée
です。なにが一体「聖なる結びつき」なのかと言えば、
この現代(1989)のフィルム・ノワールは、
2人の刑事がユダヤ人とアラブ人であるがゆえです。
(正確には、アラブ人のほうは国防省所属の捜査官です。)
http://www.youtube.com/watch?v=PxheSJD8CeQ
アラブ人役のリシャール・ベリは、
見かけがあまり「アラブ人」ぽくありません。
で、映画の冒頭、
新しいボスは彼に言うのです、
「アルジェリア生まれって聞いてたが、
想像してたのと違うな」
「見かけのこと? アラブとフランスのハーフです」
これで観客は、
彼をアラブ人だと受け取ることになるわけですね。
(実際、彼の両親はアルジェリア系のようです。)
悪者役のテロリストは、イスラム過激派。
彼らは、仲間を殺された腹いせに、
ユダヤ人シモンの実家のレストランを襲撃し、
たまたま居合わせたシモンの元妻を殺してしまいます。
小さな男の子がいるのに、です。
シモンは個人で復讐に向かいますが、
遂行直前に、アラブ人カリムに止められます。
「今じゃない、でも必ず……」と。
そしてその機会は、意外にも早く訪れるのです……。
途中、ハマムでの銃撃戦があるのですが、
それはバルベスのハマムでです。
http://www.yelp.fr/biz/les-bains-maures-paris
そしてシモンの実家がある場所は、
(『エキゾチック・パリ案内』で最初のほうに登場した)
ロジエ通りのJo Goldenberg のあった位置です。
実はこの店、1982年に襲撃されたことがあります。
その現実の事件を、はっきり下敷きにしています。
(ネット上には、その指摘が見つかりませんでしたが、
まあ、82年の事件を知っていれば、誰でも気づくでしょう。)
そして映画内の犯人が逃げていくのは、
あのイディッシュ料理店の方向です。
話が2段になっているので、当然やや長いですが、
おもしろい部類に入ると思いました。