2015年11月30日月曜日

『アメリカン・スナイパー』

これもツタヤで借りて見てみました、

『アメリカン・スナイパー』

です。

https://www.youtube.com/watch?v=Av1UW0myxiA

戦争映画として、アメリカ史上最高の収益を上げたとか。
なるほど、こういうのが受けるわけですね。

wiki を見ると、
多くの絶賛する評が紹介され、
ただし評価しない意見もある、
みたいな書かれ方なんですが、
もし評論家が、この映画をただ絶賛してしまったら、
それは不十分な対応だろうと、
わたしは感じました。
エンタメとしてはまあおもしろいし、
戦争によって蝕まれる精神というテーマももちろんありえると思いますが、
やはり、決定的に、
「悪」とされる側の表現が不足、というか、
表現する気が初めからないというか。
反戦映画か好戦的なのか、
が問題になっているようですが、
それ以前の問題。
さらにいえば、
彼らを、いわば裁判抜きで「悪」と設定し、
その彼らをせっかく160人も射殺したのに、
可哀そうに精神を病むわがアメリカ兵、
というヒロイズムにも見えるわけです。

病んだ兵士、傷ついた兵士たちを通しては、
論理的には、反戦映画だということになるのでしょう。が、
映画の見せ場は戦闘シーンにちがいなく、
これはどうしても好戦的。
仲間を撃った相手に復讐するため、平気で、
「目には目をだ」
と言ってしまう浅いマッチョぶり。
それにそもそもイラク戦争は、
アメリカの勘違いで始まり、
IS 誕生の大きな契機となった戦争なわけですが、
そこのところは、映画内では触れられません。

戦争映画において「反戦」とは、
エクスキューズになりかねないなあと思う、
今日この頃なのでした。