2015年11月5日木曜日

書評(明治広報より)

大学には、
「明治大学広報」という、
月1回発行の広報誌があるのですが、
その「本棚」の欄で、
『パリ移民映画』を取り上げて頂きました。

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本書は、いま最も新しくホットなパリを紹介してくれる必見の書である。
「パリ移民映画」というジャンルそのものをテーマにしているところが、
この本が優れてアクチュアルなフランス論であることを物語っている。
本書は、パリとパリの郊外を舞台にした映画を
網羅的にリストアップするところから始まり、
パリの5つの地区を舞台にした映画をそれぞれ一本取り上げ、
場所との密接な関係の中で、
移民がどのようにパリ、
ひいてはフランス社会を内側から変えていっているかを浮かび上がらせる。
本書を読めば、フランスがいかにこの40年間で変化したかを、
いわば映像を通して、具体的に辿ることができる。
それは「おしゃれ」なパリでも、華やかなパリでもおよそない。
現実の、現代の、原寸の、「本当の」パリなのである。
移民映画を通してパリを再探訪させてくれる本書は、
日本語においてだけでなく、フランス語でも、
フランス文化にたいする移民の影響を証言する稀な文献として
先駆的な存在であると同時に、きわめて意義深い資料である。
根本美作子・文学部教授
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根本先生は、
優秀な方揃いの文学部フランス専攻のスタッフの中でも、
フランス語も英語も、ともに達人(←誇張なし)という、
わたしから見たら雲の上の存在です。
根本先生、ありがとうございました!