2021年11月12日金曜日

『24時間の情事』

今週の大学院ゼミでは、
予定していた『きちがいピエロ』を急遽取りやめて、

『24時間の情事』(1959)

を見てみました。
(『エターナルズ』を見てきた院生が、
「ヒロシマ」も途中言及されていた、と言いだし、
訊いてみたら、
『24時間の情事』は未見だというので、
それなら、となったのでした。)


これは、デュラス&アラン・レネ作品だけあって、
物語を説明するのは難しいのですが、
まあ表面的には、
日本人男性と、
映画撮影でヒロシマを訪れていたフランス人女優との、
「行きずりの恋」、
ということになるのでしょう。

構図的には、当然、
男(岡田英次)はヒロシマ・日本、
女(エマニュエル・リヴァ)はフランス、
なんですが、同時に、
男はWWⅡにおけるあるドイツ兵(のイメージを形象化)、
でもあるのです。
実は、女は大戦中、ドイツ兵(←殺される)と恋仲になり、
終戦後は、対独協力者として、
村人たちに髪の毛を切られた経験を持っています。
で、
一人の女性が二重化され、
男もまた二重化されていくのです。

評価するのはなかなか難しいですが、
エマニュエル・リヴァは、
40年前に見たときより魅力的に感じられたし、
見ていて飽きませんでした。
何が可能で何が不可能なのか、
それが問題なのかもしれません。