2021年11月1日月曜日

ジョナタン・コーエン/2

ジョナタン・コーエンと、
マニュ・パイエ主演のコメディー映画、

Budapest 『クレイジー・プラン・イン・ブダペスト』(2018)

を見てみました。
ネトフリです。


パリ。
上司にいびられたりするうち、
だんだん仕事がイヤになった二人の中年男性、
アルノーとヴァンサン。
彼らは、ほんの思いつきで、
バチュラー・パーティーを催行する仕事を始めます。
その行き先はブダペスト。
何でも安いし、「美人が多い」からです。

ところで二人は、
アルノーの方は特に、
妻との関係を正面から受け入れることができず、
つまり、
まだ子供でいたがっているような子供、でした。
(ロマン・デュリスが得意なキャラですね。
まあ今回は、そこまでじゃないですが。)
だからこそ、
自分の願望の代理として、
他人のバチュラー・パーティーを盛り上げようと思ったのでしょう。

ドタバタから浮気、ベンチャー・ビジネスまで、
盛りだくさんではあるのですが、
やはり、フランスのコメディー映画によくある雰囲気で、
ご都合主義と軽薄さが目立ちます。

ただし、映画としてのデキはイマイチでも、
興味をひく点はいくつかありました。
まず、まあ紆余曲折合った後、
もともと仲のよかったヴァンサンと妻は、
なんとかよりを戻すのですが、
アルノーの妻は、
たとえアルノーが改心したように見えるとしても、
彼を許さず、拒絶するのです。
つまりふたりの男性について、
(妻ふたりが、ひとりの女性の分身なのだと考えれば、)
選ばれるのは、大人になることを受け入れたひとりであり、
もう一方は、過去の未熟さゆえ、
信用を勝ち取ることはできません。
これはピエール・マイヨ風に言うなら、
ここには、「フランス/マリアンヌ」が長らく求めてきたフィアンセの、
もっとも重要で、
もっとも見つけにくい資質がある、ということになるでしょう。

そして、
これはまたまったく別のことですが、
映画のラスト、
ほんの1分足らずですが、
今度は女性ふたりが、
女性のためのバチュラー・パーティーを企画するというオチの中で、
その女性客たちが「人間狩り」をするシーンがあるのですが、
そのとき(もちろんおもちゃの銃でですが)
「狩り」の対象となるのは、
登場人物の中でもっとも弱い不法移民である男性、なのです。
これは、監督も脚本も男性であることを考えると、
女性に対する悪意があると感じられました。
女性たちは男性を「狩る」のであり、
だから、男性は女性から逃げるのだ、
とでも言っているように見えるからです。

まあ、65点くらいの映画ですが、
結果的に、考えるポイントはありました。

そうそう、最後になってしまいましたが、
ヴァンサンの妻は、この映画


で、主人公の妹を演じていました。
アラブ系なので、
ちょっとレイラ・ベクティにも雰囲気が似ていて、
華がありました。