2022年5月8日日曜日

『暗黒街』

アメリカ映画協会は、2008年に、
ジャンル別の
「アメリカ映画 オールタイム・ベスト10」
を発表しています。
これです。


1位はまあ、『ゴッドファーザー』で文句なしでしょう。
そのほかにも、
『スカーフェイス』とか、
『白熱』とか、
お馴染みの顔ぶれです。
(わたしは、Little Caesar だけ見ていません。)
ここに挙がっている中で戦前のもの、
ぼちぼちもう一度見ていこうと思いますが、
その前に、
このベスト10にノミネートされながら、
結局入選しなかった映画を1本見てみました。
ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の、

『暗黒街』(1927)

です。
サイレント映画です。


主な登場人物は4人。
ギャングのボスであるブル。
その愛人であるフェザーズ(←いつも羽根付きの服を着ている)
元弁護士で、今は飲んだくれのロールス・ロイス(!)。
ブルのライバルであるバックです。
ロールスがバックにいたぶられていたとき、
ブルが気まぐれに助け、大金を与えます。
立ち直ったロールスは、
ブルに恩義を感じますが、
一方、ロールスとフェザーズは惹かれ合います。
その後ブルが、フェザーズを助けるためにバックを殺し、
そのせいで死刑を宣告されたとき、
ロールスとフェザーズは、
二人で逃げるか、
恩義あるブルを助けるかで迷いますが……

この作品、英語版の wiki によれば、
デュヴィヴィエはカルネは、
この映画の「余分なものがなく、簡素な」作りに深く影響され、
ブニュエルのお気に入りの作品でもあった、そうです。
(何度も登場するブルの強烈な笑顔は、
たしかにブニュエル的な異様さを感じました。
ブニュエルの『アンダルシアの犬』は、
『暗黒街』の2年後です。)

戦前のアメリカ映画、おもしろいです。