2023年2月17日金曜日

B&B・「朔太郎と歩く」詩と歌の夕べ

というわけで、
一昨日のB&Bでのイベント、
無事終了しました。

新井高子×清岡×小島敬太×管啓次郎×田野倉康一×坪井秀人 「「朔太郎と歩く」詩と歌の夕べ」 『朔太郎と歩く』(明治大学総合芸術系)刊行記念

今回は、
自分も(少しだけですが)参加していていうのもナンですが、
かなりデキのいいイベントだったと思っています。

まず第一部では、
小島ケイタニーラブさんと、
今回の企画のファシリテイターとも言うべき管さんのセッションです。
小島さんが、
朔太郎の詩4篇に曲をつけ、演奏してくれたんですが、
これが素晴らしい。
朔太郎が、21世紀に立ち現れたかのような気持ちにさせられます。
そのなかの1曲が、これです。
まずは詩を読んでから、どうぞ。


竹の節はほそくなりゆき
竹の根はほそくなりゆき
竹の纖毛は地下にのびゆき
錐のごとくなりゆき
絹絲のごとくかすれゆき
けぶりのやうに消えさりゆき。

ああ髮の毛もみだれみだれし
暗い土壤に罪びとは
懺悔の巣をぞかけそめし。



いいですよね!
この曲を含めて、4曲の演奏が聴けます。
そして、あの「猫」ですが……


猫  

まつくろけの猫が二疋、
なやましいよるの家根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんは』
『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』
『おわああ、ここの家の主人は病気です』


これについては、管さんが曲をつけ、
小島さんがコーラスで参加。
これもとてもおもしろい試みです。
管さん自身の、
また小島さん自身の作品の朗読もあります。

このライブに続いては、
倉石信乃さんが、
朔太郎の言葉だけで作った詩と、
総合芸術系の博士課程にいる篠田くんが撮ったヴィデオが組み合わされた、
メディアミックス作品の紹介。

そしてそのあとは、ミニ・シンポ。
朔太郎の専門家3人が、
時間が長くはないので専門的になりすぎない形で、
でも、考えるヒントのたくさん詰まった丁々発止を見せてくれます。
これ、わたしは客席の後ろで立って聞いていたんですが、
ずっと聞き耳を立てていました。
(3人とも、お話も人柄も魅力的!)

で、最後にオマケみたいに、
わたしも詩を朗読しました。
ただここでのポイントは、
早稲田の坪井先生による、フルートの演奏です。
冒頭は、
わたしの希望を聞いてくださって、
武満の Air です。

……というわけで、充実の内容だったと思います。
で、
今日から、見逃し配信が始まったそうです。


よろしければ!