今度は、
『隠し砦の三悪人』(1958)
を見てみました。
戦国時代らしき頃、
A家とB家が戦い、A家が勝つ。
B家は、姫とその側近が逃げ延び、
お家の再興を期す。
その元手は、逃げ出す際に持ち出した金(きん)だ。
B家の姫の側近の一人は、凄腕の侍。
彼に守られ、姫は生き延び、
最後は、かつてこの侍が情けをかけた敵の将に救われ、
寝返ったこの将とともに、
B家の再興を果たす。
これはまあ、『スター・ウォーズ』
(←本作の影響を受けたようです。)
を始め、よく見る類型的な物語です。
誰が見ても、この「姫」は、
あのレイア姫と似ています。
(というか、順番が逆ですが。)
そして本作では、
二人の村人も登場します。
情があり、でも強欲で、諦めが早く、立ち直りも早い、
時に自己中心的で、時に献身的。
まあ、こうしたものとして、
「ふつうの人間」
を描こうとしたのでしょう。
彼らは、姫や侍とは階級が違うのです。
姫は、なかなか「強い」人間として描かれています。
(涙は他人には見せません。)
太ももはずっとむき出しで、
それは、二人の村人にとっても、
観客にとっても、
明らかに性的な記号です。
この映画には、
いわゆる実存的変化を遂げた人間は登場しません。
強いて言えば、
姫たちを助ける敵方の将でしょうか。
彼は、侍にかけられた情けを逆に恨んでいたのですが、
「受けた情けをどう使うかは本人次第」
という姫の言葉に、考えをあらためるのです。
ただ彼は、物語上は重要人物ですが、
深く描かれているわけではありません。
おもしろくなくはないです。が、
このパターンの物語は、
わたしはあまり好みじゃありません。
また人物たちも、深さが感じられない。
庶民の描き方も、悪いとは思いませんが、
それほどいいとも思えない。
見せよう、としているいくつかの場面も、
そこで物語の時間が停滞する感じもあり、ビミョーです。
そう、
そしてちょっと長い(139分)です。