で、今度は、
内田吐夢の「宮本武蔵シリーズ」全5話を見てみようかと思います。
というわけで、第1作、
『宮本武蔵』(1961)
を見てみました。
冒頭から、
かなり絵画的なショットが続けざまに現れ、
内田ワールドに誘われます。
主人公が武蔵なので、
当然、アクション・シーンもあるのですが、
全体としては静的な雰囲気です。
宮本村の武蔵(たけぞう)は、
親友の又八を誘って、
関ヶ原の戦いに参加します。
勝てば、立身出世も夢じゃない、というわけです。
けれども彼らは、西軍に、
つまり負ける側についてしまったために、
なんとか戦を生き延びたものの、
追われる身となってしまいます。
そんな中、
又八が大けがを負っていたときに、
二人はある女性(野武士の頭領の未亡人)に助けられ、
又八は、故郷で許嫁(お通)が待っているにもかかわらず、
この未亡人と暮らすことを選択します。
(女性が特に積極的ではあったのですが。)
武蔵は、追っ手を逃れながら、
このことを又八の母に知らせようと村に戻りますが、
そこにも多くの追っ手がやってきます。
ここで登場するのが、
村の住職、沢庵(三國連太郎)です。
彼は、自分が武蔵を捕らえるから、
その身柄は自分に一任せよと武士に迫ります……
この沢庵和尚が、
映画内の背骨とも言うべき倫理を背負っています。
武蔵は、ラスト、ある城に幽閉されるのですが、
それは、沢庵がとった、
武蔵に成長を促すための策でした。
本当の強さとは何か?
「血」とは何か?
というわけです。
わたしとしては、
特に「血」に意味を見いだそう
(王様の子どもは王様の血筋、とかね)
という気はないので、
この辺はアレですが。
総じて、物語よりも、
絵に目が行く映画でした。
決してつまらなくはないですが、
予想に反して、
波瀾万丈というタイプではありませんでした。