2023年2月21日火曜日

『宮本武蔵』

先日、神田伯山の「寛永 宮本武蔵伝」17話を聞きました。
で、今度は、
内田吐夢の「宮本武蔵シリーズ」全5話を見てみようかと思います。


というわけで、第1作、

『宮本武蔵』(1961)

を見てみました。

冒頭から、
かなり絵画的なショットが続けざまに現れ、
内田ワールドに誘われます。
主人公が武蔵なので、
当然、アクション・シーンもあるのですが、
全体としては静的な雰囲気です。

宮本村の武蔵(たけぞう)は、
親友の又八を誘って、
関ヶ原の戦いに参加します。
勝てば、立身出世も夢じゃない、というわけです。
けれども彼らは、西軍に、
つまり負ける側についてしまったために、
なんとか戦を生き延びたものの、
追われる身となってしまいます。
そんな中、
又八が大けがを負っていたときに、
二人はある女性(野武士の頭領の未亡人)に助けられ、
又八は、故郷で許嫁(お通)が待っているにもかかわらず、
この未亡人と暮らすことを選択します。
(女性が特に積極的ではあったのですが。)
武蔵は、追っ手を逃れながら、
このことを又八の母に知らせようと村に戻りますが、
そこにも多くの追っ手がやってきます。
ここで登場するのが、
村の住職、沢庵(三國連太郎)です。
彼は、自分が武蔵を捕らえるから、
その身柄は自分に一任せよと武士に迫ります……

この沢庵和尚が、
映画内の背骨とも言うべき倫理を背負っています。
武蔵は、ラスト、ある城に幽閉されるのですが、
それは、沢庵がとった、
武蔵に成長を促すための策でした。
本当の強さとは何か?
「血」とは何か?
というわけです。
わたしとしては、
特に「血」に意味を見いだそう
(王様の子どもは王様の血筋、とかね)
という気はないので、
この辺はアレですが。

総じて、物語よりも、
絵に目が行く映画でした。
決してつまらなくはないですが、
予想に反して、
波瀾万丈というタイプではありませんでした。