今回は、
『お引っ越し』(1993)
を見ました。
相米慎二監督です。
離婚しようとしている夫婦、
それをうまく受け入れられない少女、
の物語です。
大人二人の葛藤と、
少女のもがきが、
それぞれに描写されながら、
別々ではなくうまく接合していて、
その結果、
感情の明暗に起伏がつき、
それがリズムというか、動きというか、
映画をドライブしている印象でした。
この映画を見たのは、
日本映画が、
いわゆる集団的な夢想のようなものを描いていた時代から、
もっとパーソナルなものを描くようになっていた流れを踏まえ、
その「転換」を感じてみよう、
ということでした。
わたしの場合は、
社会を描きたければ個人を、
個人を描きたければ社会を、
という基本的スタンスでずっときたので、
単に「集団」から「個人」へというほど単純ではないと思いますが、
でも、そうした流れがあるのも事実でしょう。
よくできた作品は、
そうした二元論は越えてゆくでしょうけど。
でもフィルモグラフィーを見ると、
相米監督って、
「少女」ものが多いんですね。
まあ、「少女」は大きな可能性を秘めてますからね!