2023年2月25日土曜日

『お引っ越し』

大学院ゼミ、院生セレクション、
今回は、

『お引っ越し』(1993)

を見ました。
相米慎二監督です。

離婚しようとしている夫婦、
それをうまく受け入れられない少女、
の物語です。
大人二人の葛藤と、
少女のもがきが、
それぞれに描写されながら、
別々ではなくうまく接合していて、
その結果、
感情の明暗に起伏がつき、
それがリズムというか、動きというか、
映画をドライブしている印象でした。

この映画を見たのは、
日本映画が、
いわゆる集団的な夢想のようなものを描いていた時代から、
もっとパーソナルなものを描くようになっていた流れを踏まえ、
その「転換」を感じてみよう、
ということでした。

わたしの場合は、
社会を描きたければ個人を、
個人を描きたければ社会を、
という基本的スタンスでずっときたので、
単に「集団」から「個人」へというほど単純ではないと思いますが、
でも、そうした流れがあるのも事実でしょう。
よくできた作品は、
そうした二元論は越えてゆくでしょうけど。

でもフィルモグラフィーを見ると、
相米監督って、
「少女」ものが多いんですね。
まあ、「少女」は大きな可能性を秘めてますからね!