『ロビンフッドの冒険』をアマプラ見終わったら、
そのままオススメされたのがこれ、
『黒騎士』(1952)
でした。
ロバート・テイラー、
エリザベス・テイラー、
ジョーン・フォンテインという豪華キャスト。
アカデミー賞作品賞を取った映画です。
ウォルター・スコットが1820年に発表した小説、
『アイヴァンホー』
の映画化です。
(映画も、原題は『アイヴァンホー』です。)
なぜこの映画がオススメされたのかといえば、
それは、この映画と『ロビンフッドの冒険』は、
時代も場所も共通しているからです。
リチャード獅子王が十字軍に行っているのも同じ、
弟のジョンが兄の王位を狙っているのも同じです。
(ジョンは、利己的で思慮のない人間として描かれていて、
まあ実際、ダメな王としても有名ですが、
彼はその後、王にはなったわけです。
困ったものですね、こんなトップじゃ。
まあ、21世紀にも、似たようなトップは確かにいるようですが。)
主人公は、ノルマン人ながらジョン王と対立し、
リチャード獅子王に心酔するアイヴァンホーですが、
彼の協力者として、
ロビンフッドも登場します。
(ちなみに、またフランス語は使われていません。)
備忘のためにちょっと書くと、
背景にあるのは、
フランスから来たノルマン人と、
もともといたサクソン人の対立です。
ただし、リチャード獅子王に限っては、
良き王として、
両側から支持されています。
一方ジョンは、側近のノルマン騎士たちとつるんでいますが、
サクソン人を迫害しており、
彼らからは疎まれています。
弓の名手ロビンフッドは、サクソン人たちのリーダーで、
アイヴァンホーは、(さっきも書きましたが)
ノルマン人騎士ですが、ジョンではなくリチャード獅子王側です。
ただ『黒騎士』には、
『ロビンフッドの冒険』にはなかった要素も入っています。
それは、リズ・テイラー演じるユダヤ人女性レベッカです。
彼女と父親は、ユダヤ人としてスペインを追われ、
ここまで来ています。
質素な生活ですが、
実は父親は金融家のようで、
ユダヤ人ネットワークを使って大金を用意することもできます。
(捕虜になったリチャード獅子王の身代金です。)
またオーストリアの商人にも、金を貸しています。
そしてレベッカはアイヴァンホーを愛しますが、
彼に恋人がいるのを知り、
また宗教的戒律から、
彼への思いを断ち切ります。
(本人は、気の迷いだった、みたいなことを言ってますが、
たぶんちがう。)
この、ディアスポラの民の政治的立場、
ノルマンにもサクソンにもつかない、
自分たちに「国」はない、という立場の表明は、
この映画に深みを与えています。
(グローバル・ヒストリー的な印象です。)
この映画、
昨日までは見る予定などまったくなかったのに、
見てみたらそれなりにおもしろかったです!