2023年2月6日月曜日

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』

で、ディズニー+にあるのでついでにもう1本、
ウェス・アンダーソン作品を。
今度は、

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)

です。


これは、『ダージリン急行』に似て、
「家族の再生」がテーマになっているようです。
離婚後、もとの家族を長くほったらかしにしていた男が、
子どもたちが大人になった頃突然現れ、
「家族」ごっこをやりたがるという物語です。
ただこの男(ジーン・ハックマン!)は、
実際破産もしており、住むところもありません。
で、自分は末期がんだと偽って、
子どもたちは妻の歓心を買おうとするのです。

この男、ダメでしょう。
いや、人間的な魅力はあるのです。
でも、やってることはほぼダメ。
しかも、こんな好き勝手な人生の晩年に、
しかも、ウソをついて、もと家族の中に入りこみ、
そのウソがバレルまでの6日間が、
人生で一番だったなんて、
わたしは感動しません。

そしてもう一人の「おもしろい」人物は、
グイネス・パルトロー演じる、
この男の長女です。
彼女は養子で、
男はことあるごとにそのことを言明します。
また彼女の右手の薬指は欠損しているのですが、
それは、12歳の時、実の父親を訪ね、
そこで薪を割るときに、
指まで切られてしまったといういきさつがあります。
この失われた指は、何か。
それはまあ、「愛」なのでしょう。
彼女は実家でも、養家でも、
また今の夫からも、十分な「愛」を受けていないようです。
で、彼女の精神的放浪は終わらないのです。
ただ最後、
彼女は(血の繋がらない)弟と相思相愛であることがわかります。
でも彼女は、
それを秘密にしようというのです。
臆病なんですね。
この女性のキャラはいいと思いました。