さて、昨日の会の復習です。
会は7時からでしたが、わたしたちの集合時間は6時でした。(あんまり変わりません!)で、開始までの1時間で、会の進行を打ち合わせるのですが、実際はバルベリさんとわたしの間で、かなりメールで調整してありました。まあ、だから1時間で大丈夫、と考えたわけです。
全員集合したのが6時5分ごろ。それから、早川書房の人たちとのご挨拶があり、飲み物の用意(じゃあみんなお茶でいいね。Chaud ou froid ? chaud の人は? はいはいはい。froid は? はいはい。じゃあ、trois chauds et deux froid ね?)があり、わたしや通訳の福崎さんが「サインお願いします!」なんて言ってて、打ち合わせ開始は6時半!(画像)
原案はわたしが作っていったのですが、その中でバルベリさんが「それやめましょう」といったのは1つだけ。バルベリさんはミステリーが好きで、谷口さんも『事件屋稼業』などのハードボイルド風の作品があるので、ちょっと「ミステリー/ハードボイルド」に触れた後、「今」そういう作品を作る意味について訊こうと考えたわけです。谷口さんには、しばらく離れていたハードボイルドを、「今」ならどう描くのか、バルベリさんには、今の文学シーンがポストモダンだとするなら、そこでどんなミステリーが可能か、という風に。しかし!
「ポストモダンは定義がはっきりした試しがないし、ポストモダンについて話すのは嫌いなの。今わたしは、旧モダン風に生きてるし!」
というわけで、この話題はボツとなりました。で実際にOKが出たテーマは、
・mangaとBDの違い→日仏の小説の違い 読者の質の違い 2人が受ける理由
・「絵」のこと。(谷口さんがエドワード・ホッパーが好きと伺って、なんだかとても腑に落ちる気がしました。バルベリさんがオランダ静物画が気に入っているのは、予想通り。ただ、ペーテル・クラエスは日本でマイナーだと聞いて、驚いてましたね。でも完全にマイナーでしょう。)
・mangaや小説にとっての、映画の影響。(『歩くひと』は、もともと担当者から「小津風なものを」と注文された、とおっしゃっていたのが印象に残ります。でももちろん、谷口さんの何かと響きあったのでしょう。また、この話題をバルベリさんに振るとき、わたしが「短く!」と言ったのは、もちろん半分冗談ですが、実は打ち合わせのとき、「小津のことは3時間話したい!」と言っていたからでした。)
・日仏の家屋の違い~引き戸(ここでは「空間の分割の方法」をテーマにしてもらいました。谷口さんの言うコマ割りの方法は、わたしは始めて聞きましたが、常識なんでしょうか?「コマの大きさは時間を表わす。そして場面が続けば横に開く。変われば縦に移動。」
・自然と人間(山、海、犬猫、動物、クジラ…… 谷口さんの計画には、『白鯨』も入っていました! 楽しみ!)
・食(『孤独のグルメ』の食べ物は、いくつか食べたけどおいしくないんですよ、と谷口さんが言ってましたが、いいんでしょうか!? バルベリさんは、ご自身では料理しないとのこと。でも個人的には、やっぱり少し作ってみたほうが、より「食」の理解が深まような気が……)
・哲学を描くこと (『神々の山嶺』は、素晴らしく思想的だと、バルベリさんは絶賛していました。)
バルベリさんは、自分の本の宣伝のことなんかまったく考えてなくて、とにかくTaniguchi について語りたくて仕方ないのでした。ほとんど「神」を語るようでした!「わたしの本は消えてゆきます。でも『神々の山嶺』は消えません!」
こうして書いていると、昨日の記憶がよみがえります。実は告白しますが、谷口作品は今まで読んだことがなかったのです。でも今回、かなり(ン万円分)読みました。その結果、何人かから「ずいぶん前から谷口ファンだったんですね!」と言われました。でも、谷口マンガ、これはたしかに素晴らしいです。前にも書きましたし、バルベリさんも強調していた通り、『神々の山嶺』は、ぜひ読んでみて欲しいです。あんな男、ちょっといません……
それにしても、無事終わってほっとしました。今日は授業があったのですが、それ以外の時間は脱力していました。でもまた明日からは、「東京詩」に復帰するつもりです!