イギリス映画、
Brick Lane (2007)
を見てみました。
(日本版はないんですが、
日本のアマゾンでも、輸入盤が売られています。
英語字幕も付いている版です。)
https://www.youtube.com/watch?v=ApKTtTyp_k8
バングラディッシュのベンガル地方、
ムスリムの家庭に生まれ、
17歳になったナズリンは、
生まれた土地を離れる気は全然なかったのに、
親の決めたかなり年長の相手と結婚するため、
彼の住むロンドンに一人で赴きます。
そして着いたのが、
レンガ造りの建物の続く移民街、ブリック・レーンです。
映画はここで、16年飛びます。
ナズリンは今や2人の娘の母親となり、
(といってもまだ33歳ですが)
英語も話せるようになりました。
でっぷり太った夫は、
陽気で、楽天的に(少なくとも表面は)見えます。
けれど今日、彼は強く期待していた昇進を遂げられず、
それどころか解雇されて帰宅します。
その後も、夫の就職活動は難航し、
ナズリンは縫物の内職を始めます。
そして、その仕事を通して、
若きカリムと出会います。
2人は次第に惹かれあい、
ついには、ベッドを共にします。
そしてそんなとき、あの9.11 が起きるのです。
この時から、街の雰囲気は一変します。
ムスリムたちは、嫌悪と排斥の対象となり、
その結果彼らのコミュニティー意識も高まってゆきます。
そしてカリムは、
ムスリムの自衛集団、「ベンガルの虎」の活動にのめりこみ、
その容姿は、見る見るうちに変容してゆきます。
ジーンズを履いたふつうのお兄さんが、
濃いひげを蓄え、白い帽子を被るのです。
このブリック・レーンが故郷だ、と言っていた彼は、
こうして一層、その場所からそ疎外されます。
そしてある日の集会でのこと、
ナズリンは夫とそこに参加します。
夫は、そこでスピーチする予定だったのです。が、
その集会の雰囲気があまりに戦闘的だったため、
夫はとまどい、ついには立ち上がって叫ぶように話します。
それじゃだめなんだ、
もう忘れたのか、ムスリム同士でどれだけの血を流したのかを。
小さなコミュニティーが戦闘的になることの危険が、
あなたたちにはわからないのか。
イスラムの魂は、あくまで内面にあるのだ……。
たんなるデブおやじだったはずの彼の言葉は、
観客の胸に刺さります、が、
その集会に、彼の言葉を聞こうとするものはいませんでした。
借金がふくらみ、
仕事もうまくいかない夫は、
ついに、家族を連れてベンガルへ帰る決心をします。
これはいつかビッグになって、
故郷に錦を飾りたかった、
でも、それはもういい、
家族さえいれば、それでいい、
おれはもう、ここにはいられない……
しかし、ロンドンで生まれ育った娘たちは、
そんなことまったく受け入れられません。
そしてまたナスリンも、言うのです、
わたしがあなたを愛しているのは、
あなたがビッグだからじゃない、
でも、今は帰れない、
この土地を離れることはできないの、
でも、いつでもここで、
娘たちと待っているから……
前半は、むしろ淡々とした展開で、
やや単純すぎる気もしていましたが、
中盤に9.11 が起きたあたりから、
物語が加速し、
終わってみれば、なかなかいい映画でした。
ブリック・レーンは、今では、
なかなか「ファッショナブルな」通りになっているようですが、
それでも、そこが移民街なのは今も変わらないようです。
ちなみに、カリムの家族がいるブラッドフォードは、
バングラ系の人の多い地区として知られているようです。
*このフィルムは、公開当時、
ロンドンに住むバングラ系の人たちから、
大きな抗議が巻き起こったそうです。
彼らとイスラム過激派(や9.11)を結びつけたというわけです。
でもわたしが見た限りでは、
そんな風には思えませんでした。
YouTube のコメントに中には、
こんなものもあります。
(もちろん、なりすますのは簡単ですが。)
Im a bengali, from east london..
This is a great movie, i dont understand
why the elders didnt really like it...
i guess they were angry
because it put the British Bangladeshis out into the mainstream,
and they wanted us to just be silent people in the UK...
but the film very true though...