2015年7月2日木曜日
Comme un aimant
マルセイユと言えば、
この映画がありました。
Comme un aimant (『磁石のように』) 2000
この映画は、カメル・サレの監督・脚本で、
脚本にはマルセイユのラッパー、アケナトンも加わり、
二人はまた出演もしています。
マルセイユでなければならない映画です。
https://www.youtube.com/watch?v=zBz-LUtC990
8人の移民系のワカモノたち。(画像)
彼らはマルセイユで、
仕事もなく、ブラブラし、
時にチンケな犯罪で小銭を稼ぐ日々です。
彼らの、社会に対する恨みは深く、
また、自分のふがいなさそのものも嫌悪しています。
でも、彼らは若い。
集まれば騒ぎ、飲み、ナンパし、泳ぎに行き……
未来に希望はないけれど、
刹那的には、 joie de vivre 生きる喜びに満ちることもあります。
申請すれば、RMI(社会参入最低所得手当)がもらえるのですが、
それは彼らのプライドが許しません。
(「ムッシュRMIst なんて呼ばれてたまるかよ!」16分30秒)
そして後半、映画は徐々にトーンが変わってゆきます。
8人の1人、また1人と、
逮捕されたり、ほんもののギャングに追われたり、
最愛の母を失ったショックで、
訳が分からないまま強盗に入り、撃たれたり……
『憎しみ』に似ているところもありますし、
意識しているんだろうな、と思う個所もあります。
(特に、エンディング近く、1.22.45秒あたりからのシークエンス。
仲間を失ったカウエットが、
ガソリン運搬車を盗むのですが、
ここは、ヴィンスが、
拾った拳銃で警察官を撃つ場面ととても似ています。
両方とも、印象的。)
音楽は、
もちろんアケナトンのものが多いのですが、
マリーナ・ショウの曲をサンプリングしたものもあります。
たとえば、
https://www.youtube.com/watch?v=0oRZcAwlcx0
マルセイユについて言えば、
passage de Lorette や、
montées du Saint Esprit などが出てくるのですが、
これって観光では行きにくいかもしれません。
42分あたりから5分ほど、
エピソードを挟みつつ進む
夜のマルセイユを車で流すシークエンスは、
とても「街」の感じが伝わってきます。
(ナンパされた女の子たちが、
Merci, on est attendues.
と言って断るのですが、
この受動態もいい感じ。)
いい映画って、たくさんあるものですね。