2021年10月6日水曜日

Jacques Demy

今週の大学院ゼミでは、
ジャック・ドゥミ監督の長編デビュー作、

『ローラ』(1961)

を見ました。


(←実際の画質はもっときれいです。)

『シェルブールの雨傘』で知られるドゥミ監督ですが、
正直なところ、
わたしはこれまでそんなに注目してきませんでした。
なので、そんなに期待してなかったんですが、
この『ローラ』はなかなかおもしろかったです。
ただ、そのおもしろさは、
いわゆる「おもしろい」とは違います。

舞台はナント。
物語は、どの仕事も長続きしないワカモノ、ローランと、
彼の幼なじみで、今はシングル・マザーになり、
ダンサーとして生活しているローラ(本名はセシル)の関係を中心に進みます。
初恋の相手であるローラと、15年振りに会ったローラン。
彼は、かつての情熱を再燃させ、
人生に喜びを感じ始めます。
けれどもローラは、アメリカ兵フランキーとベッドをともにし、
また、子供の父親であるミッシェルを忘れられません。
そしてついに、ミッシェルが南洋から、
金持ちになって戻ってくるのです……

おもしろいのはまず、
シングル・マザーが3人出てくること。
この父親不在の感じが、この映画のテーマの1つです。
そして、中心となる2組の一方の母親と、他方の娘が、
同じセシルという名前で、
ともにアメリカ人への「愛」を感じているのです。
フランス映画におけるアメリカ熱が、
これほど露骨に描かれている作品は多くないでしょう。
(『7月のランデヴー』などもそうでしたが。)

そして……

まず、この映画の発表が、
『勝手にしやがれ』の翌年であることがとても大事です。
というのも、劇中ローランは、
友人ポワカール(=『勝手にしやがれ』の主人公の名)について、
あいつはもう死んだ、と言ったりするのです。
それだけではありません。
ローラ(セシル)が同衾し、
また少女セシルが会いたがっているのは、
同じアメリカ人フランキーで、
『勝手にしやがれ』のヒロインの名は、
パトリシア・フランキーニでした。
またさらに、
この『ローラ』は、
『シェルブールの雨傘』『モデル・ショップ』とともに、
3部作を形成しているとされているのですが、
ローラン(・カサール)とは、
『シェルブールの雨傘』で、
ジュヌヴィエーヴと結婚することになる宝石商と同じ名前です。

こうしたこと全部が、
何を意味するのか、どういうネットワークになっているのかまでは、
まだはっきりしません。
それをするには、
『モデル・ショップ』を見る必要があるのですが、
このDVDの入手が(不可能じゃないですが)難しい感じ。
このあたりは、
おそらく研究され尽くしているのでしょうが、
わたしも知りたい気がします。

おもしろいというのは、
こういう意味で、ですね。