2020年8月13日木曜日

Hors Normes

 ナカシュートレダノの『最強のふたり』のコンビによる新作、

Hors Normes (2019)

やっと見ることができました。

https://www.youtube.com/watch?v=63efWAPLjis

中心になるのは2人。

ヴァンサン・カッセル演じるブリュノと、

レダ・カテブ演じるマリックです。

(豪華共演です。)

前者はユダヤ人で、後者はムスリム。

で2人は、それぞれ、もう20年も前から、

自閉症の子ども、あるいは若者たちを受け入れる組織を運営しています。

そこにいる子ども・若者たちは、

基本的に、他の公的施設などが受け入れてくれなかった人たちです。

もう、2人の組織が受け入れなければ、行くところがない、

あるいは、彼らの症状が悪化してしまうような場所しかない、という状況です。

2人は、いわばお互いの活動を補いながら、

他のさまざまな人たちや病院などと繋がりながら、

綱渡りの活動を続けているのです。

また彼らの下で働くのは、

うまく仕事を得られない、社会に居場所を見つけられないような「ワカモノ」で、

彼らを育てるのも2人の仕事です。


『サンバ』でも繰り返し出てきた、馬も出てきます。

自分の頭を壁に打ち付けてしまうので、

いつもヘッドギアを付けているヴァランタンが、

初めて、馬をなでる場面。

ヴァランタンの表情に、かすかに光が差したときは、

ちょっと打たれました。


また、洗濯機好きのジョセフ。

彼は、何かあると、ブリュノに訊くのです、

肩に頭を載せていい? と。

そしてそれは、彼の愛情表現なのです。


自閉症の子ども・若者たちを取り巻く状況を描くのは、

かなりチャレンジングなテーマだと感じます。

でも、でき上った作品は、とてもよかったです。

フランスのメディアの映画評には、たとえば、

「自閉症の内面が描けてない」

という批判もあり、

たしかにそうかもしれませんが、

それでもわたしは、いい作品だと思いました。

ネオリベ的「生産性」なんて、

クソくらえだと思いました。