『パピチャ』(2019)
を見てみました。
これ、授業で使えるかもと思って、
DVD を買ってありました。
日本で公開されるのは珍しい、アルジェリア映画です。
舞台はアルジェ。
ただ、時間的舞台は1990年代。
つまり、アルジェリア内戦のまっただ中で、
それは「内戦」である分、
「アルジェリア独立戦争」よりも陰惨な部分もあります。
監督のムニア・メドゥールは1978年生まれで、
公式サイトによれば、
アルジェリアで育ち、内戦時にフランスへ移住した、
ということのようです。
物語はシンプルです。
ネジュマはファッション・デザインに興味がある大学生で、
寮で暮らしています。が、
夜には、仲間たちと寮を抜け出してクラブに行ったり、
そこで、洋服の注文を受けたりしています。
ただ、内戦のテロルはすぐそこにあって、
ジャーナリストである彼女の姉にも、
危険が迫っています。
そんななか、ネジュマと仲間たちは、
寮でファッション・ショーを開こうとします。
けれどもこれは、もしイスラム過激派に見つかったら、
ただではすまない危険な賭けでした……
女性たちの友情も描かれていますが、
やはり中心にあるのは、
内戦の不気味さと対峙するネジュマの姿なのでしょう。
たかだか20数年前のこととは思えないほど、
現実が歪んでいます。
(でも人間社会は、いつでも、すぐにでも、
こういう社会に変貌しうるのでしょう。)
上に貼り付けたインタヴューで、
「浜辺のシーン」
が挙げられていますが、
ここは、女性の友情映画に特有の
(と言っていいでしょうか?)
何かが弾けるような美しい場面になっています。
(思い出すのは、この映画の「ダイヤモンド」です。
シリン・ブーテラは、
あの特徴ある微笑みをすでに浮かべています。
主演のリナ・クードリともども、
今後の活躍が楽しみです。
ちなみにリナ・クードリは、
この映画にも出ていました。
(それから、
これは実際上仕方ないとは思いますが……
映画内では、フランス語とアラビア語がランダムに、
つまり、二人の会話でも、
2つの言語が交互に使われたりするのですが、
それが、字幕にはまったく表示されません。
あたかも、ずっと1つの言語を使っているかのよう。
まったくちがうんですけどね。)