2022年8月19日金曜日

Épidémie 終了

モントリオールを舞台にしたドラマ、

『アウトブレイク』(Épidémie)

やっと見終わりました。


なかなか良くできたドラマだと思いました。
ただ、なんといっても新型コロナによる感染拡大を描いていて、
息苦しくなる展開も多く、
長時間見続けるのがつらいので、
進みは遅かったです。

<以下、ネタバレします>

主人公アンヌ=マリは、感染症研究所の所長で、
行動力もあり、考える力もある人です。
ただ、医師である彼女の夫は浮気していて、
結局、妻を捨て、
愛人(彼女の医者)のもとに向かいます。
ただ、長いドラマを通して、
アンヌ=マリ自身に、実存的な変化は起きません。
ということはこのドラマは、
「スーパーヒーローもの」に近くて、
要は、アンヌ=マリとそのスタッフが、
「悪」であるコロナに打ち勝つまでの物語です。
これが、メイン・ストーリー。

そして、目立つサブ・ストーリーは4つ。
1,アンヌ=マリを含む三角関係、
2,トリアージにおいて、自分の子を宿す女性を優先した大臣、
3,「自由」なアンヌ=マリの娘の発病、
4, 感染源となったフェレットを売った悪徳ペット店の店長
です。

トリアージの問題は、
正直なところ、
これまでちゃんと考えたことがありませんでしたが、
改めて難しい問題だと感じました。
大臣の子、と書きましたが、実はこれはデリケートなのです。
というのも、
大臣はカム・アウトしているゲイで、
パートナーと暮らしています。
で、この二人が子どもを持つために、
代理母になってくれている女性、
を救ったのです。
しかも彼女自身も幼い息子がいるのです。
ただ、優先的に「特効薬」を処方されたにもかかわらず、
この女性は死に、
ゲイのカップルは、残された子ども育てることになりそうなのですが、
ただ、優先順位を1つ下げられたことで、
薬を使ってもらえず亡くなったのは、
7歳の子どもでした。
あとで、母親はその事実を知るのです……

そして3です。
この娘は母親を愛しているのですが、
同時に、父親の愛人とも仲がいいのです。
そしてそれを母親が嫌がることを、娘はしっているのに、です。
娘は、裏で母を(罪悪感もないまま)裏切り続け、
最後、コロナに感染することになります。
これはドラマ上の「処罰」に見えます。
そしてさらに思い「処罰」を受けるのが悪徳店長で、
ドラマの最後に死ぬのは彼です。
(その妻も同罪のはずなんですが、
彼女は「処罰」を逃れています。)

映像もきれいだし、
全編緊迫感が途切れないし、
きちんと作られた作品だと思いました。