2015年6月17日水曜日

Un p'tit gars de Ménilmontant

むしろ監督としての印象が強いオリヴィエ・マルシャルが主演し、
実生活のパートナーであるカトリーヌ・マルシャルも、
彼の昔の愛人として登場する作品、

Un p'tit gars de Ménilmontant (2013)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=EI1bmR4A4mA

https://www.youtube.com/watch?v=qC3E-turTI0(全編版)

舞台のほとんどはメニルモンタン界隈です。

16年の刑期を終えて出所したジョー。
古巣のメニルモンタンに戻った彼は、
街の様子も、かつての仲間も、
大きく様変わりしているのを目の当たりにします。
かつての愛人は、
まじめそうな教員と暮らし、
二人の間には息子もいます。
(実は、ジョーの息子です。)
相棒だったマクルフも、
今では小さなカフェの店主に収まり、
彼の奥さんは、ジョーの帰還を歓迎しません。
しかもあろうことかマクルフは、
地元の、まだ十代のチンピラたちの言いなりです。
そしてジョーが、
かつて逮捕される前に隠しておいた金を、
ユーロに換金しようとするあたりから、物語は動き始めます……。

この作品は、一見ふつうのフィルム・ノワールに見えて、
実はなかなかの野心作です。
というのも、上で「チンピラ」と呼んだ若者たちは、
いわゆる郊外映画に登場する「ワル」たちであり、
アラブ系やアフリカ系が中心である彼らの行動が、
ジョーにはいわば「新興やくざ」のように見えているからです。
出所してきたギャングが、
娑婆の変貌に戸惑うというのは、
ほぼ決まったスタイルとも言えますが、
その変貌の核にいるのが彼らである点が、
わたしには野心的だと感じられたわけです。

*追記
日本版がありました。
友よ、裏切りの街に眠れ』
です。

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もう一本、

Petits Frères (1999)

という映画も見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=xlx1ABtH1tA

ベルヴィル(駅はGoncours)に住む少女が、
義父と大喧嘩をして、
飼い犬のキムと一緒に家出します。
行く先は、オーベルヴィリエ(駅はFort d'Aubervilliers)。
けれどもそこに、頼りたい友達はもうおらず、
結局彼女は、地元の「ワル」たちと仲良くなる、
というお話しでした。
ドキュメンタリー風で、
今見るとちょっと古めかしい作りでした。