あのものたちの顔を見
あのものたちの声を聞くと
ムシズが走るわけだが
このムシズだかムズシだかがナンなのか
わたしはよく知らないのだった
そこでコトバンクだ
親指を何度か滑らせてコトバンクに訊く 曰く
胃酸過多のため、胃から口に出てくる不快な酸っぱい液
そうか胃酸過多なのかおまえも
おれは高校生の頃からずっとだもうそれがデフォルトだだから
ただでさえムシズなのにあのものたちの顔と声ときたら
もうムシしたい耳をふさいでしまいたい
走ってくるムシズを振り切って逃げてゆきたい けれど
それがムシたちの望みなのだムシされればムシの王国だそれはきっと
ムシズに満ちた凄惨な世の中でぼくたちはムシズの海を泳ぐ
クロールで泳ぐ平泳ぎで泳ぐでもいつか溶かされるあの
汚れた小さな布切れに支払った数百億と一緒に溶かされるムシズでだから
あのものたちの顔を見
あのものたちの声を聞いてもぼくらはこらえるムシズを
口いっぱいに溜めて
体いっぱいに溜めて
ぼくらこそがムシズになり
あのものたちを溶かしてしまえるように ところで
選挙はいつだ?