2024年6月1日土曜日

『ケープタウン』

南アフリカとフランスが共同制作した映画、

『ケープタウン』(2013)


を見てみました。
ずっと「リスト」に入れてたんですが、
原題が Zulu(ズールー族)であることに気づき、
これは、と思ったわけです。
オーランド・ブルームも出ています。
(12禁です。)

緊迫感のある映画で、
薄っぺらいヒューマニズムじゃない点も好感が持てました。
二人組の刑事、
上司アリは、ズールー族の男性で、
白人の部下ブライアンは、アパルトヘイト時代に裁判官を務めていた父を持っています。
ただ彼は、この父親の所を嫌悪し、そのまま決裂しています。

アリは、アパルトヘイト時代、苦しめられた側ですが、
復讐よりも「許す」ことを優先しています。
ブライアンは、そうしたことより、個人生活が大変。
飲んだくれで、妻に逃げられ、息子には拒否され、お金はありません。

ただこの映画の厳しさは、
善良で寛大だと思っていたアリが、変わってゆくこと。
そしてその怒りの対象は、アパルトヘイトの過去と結びついています。
過去の亡霊が蘇るのです。

少し、理解しづらいところもあったんですが、
トータルとしてはおもしろかったです。
この映画、授業で使いたいですが、
わたしが、きっちり説明できる自信がありません。
南アの映画は、とにかく言語が入り乱れていて、そこが特に難しいです。




『狼たちの午後』

大学院ゼミでは、久しぶりに

『狼たちの午後』(1975)

を見て、院生が、それについて書かれた論文を読解する、
ということをしました。
『目に見えるものの署名』という本に収められている、
現代の大衆文化にみられる階級とアレゴリー──政治映画としての『狼たちの午後』」
です。
有名なマルクス主義批評で、
鋭い部分は確かに鋭いんですが、
書かれたのが1970年代で、
それは新自由主義が登場する前の時代なので、
たとえば、コングロマリットについてのイメージ(というか位置付け)も、
今とは違っています。
でも、いい試みでした。

その発表した院生が、
ラストシーンについて言ったコメントが、
私が昔見て感じたことと同じだったので、
なぜか嬉しい気がしました!

この映画については、
こんなことを書いたこともありました。


2024年5月24日金曜日

『足にさわった女』

小説『足にさわった女』は、
3度映画化されていますが、
今回見たのは最後の、つまり1960年のヴァージョンです。

『足にさわった女』(1960)   増村保造監督


スリである京マチ子を、刑事であるハナ肇が追う、という物語です。
軽いコメディで、スピード感もあります。
と同時に、1960年という時代が、
とても濃厚に刻印されています。
ヒロインは、1960年時点で、25, 6歳、と言われているので、
1935年あたりの生まれということになります。
(となると、6歳の時に太平洋戦争が始まったと。)
そして彼女の父親は、まだ開戦前に、
スパイの嫌疑を親戚からかけられ、自殺しています。
ヒロインは、親と共に追い出された村に20年ぶりに戻り、
親戚たちに復讐することを考えていたんですが、
探して行ってみると、そこにもう村はありません。
米軍の、厚木基地なのです。

ヒロインはラスト、自ら逮捕してくれと言い出し、
実際刑事に逮捕されます。
「歴史」が代わりに復讐をしておいてくれたので、
ヒロインは、目標を失い、
管理される「公」の側に戻って来るかのようです。

ただこれは、あくまで「風俗映画」であり、
そんなに深い意味を求めるような作品ではないようです。

『その土曜日、7時58分』

大学院ゼミ、
今週は、シドニー・ルメット監督の遺作、

その土曜日、7時58分』(2007)

を見てみました。
ルメット監督は好きなのに、
なぜかこれは見逃していました。


(原題は、Before the Devil Knows You're Dead ですが、
これはアイルランドの言い伝え、
"May you be in heaven a full half-hour before the devil knows you're dead"
「悪魔があなたの死を知る30分前に、あなたが天国にいますように」
から来ているそうです。
いいタイトル!)

フィリップ・シーモア・ホフマンと、イーサン・ホーク。
2人は兄弟で、
それぞれの事情でお金がありません。
(イーサンは、フィリップの妻と浮気中でもあります。)
そこでフィリップは、
自分の両親が営む小さな宝石店を襲う計画を立てます。
宝石には保険がかかっているので、
怪我さえしなければ、誰も痛まない、というわけです。
そして兄は、その実行役を弟のイーサンに振ります。
が、この弟が、絵に描いたような「ダメ男(loser)」。
彼は、別の男を引っ張り込み、
この男がすべてを無茶苦茶にして……

宝石店強盗を中心に、
そこに至る過程と、その後の経過が語られるんですが、
真の、というか、核心の問題は、
フィリップと父親の関係です。
父親と息子の物語はとても多いですが、
この映画は、その中でも、
かなり厳しい描き方です。

フィリップ・シーモア・ホフマンは好きな俳優の1人で、
もちろんそれなりに良かったですが、
この映画では、イーサン・ホークのダメぶりが素晴らしく、
こちらに目を奪われました。
いい映画だと思いました。

2024年5月20日月曜日

『勝手にしやがれ』

今日の授業で、
もう何回目なんでしょう、

『勝手にしやがれ』(1960)

を見ました。

やっぱりおもしろい!
正直言って、今一つピンと来ないゴダール作品もあるんですが、
やっぱりこれは別格というか、
音楽も速度も俳優もいい。

途中に出てきて印象に残る、

不老不死で死ぬこと
Devenir immortel, puis mourir

歳をとると、このセリフの意味がリアルになってきます。
その後、最後にかかるのはモーツァルト(クラリネット協奏曲)だし。

見ていて、あっという間の90分でした!

2024年5月14日火曜日

ベスト・ショットを探せ!

『パリ、ジュテーム』の中の、

Loin du 16e

は、映画の授業のウォーミングアップによく使います。
で、今回は、
ちょっと趣向を変えて、
一応レポートを書いてもらった後で、さらに、
ベスト・ショットをあげてもらいました。
(5分の映画です。よければ参加してみてください!)


大学院の授業なので、7人しかいませんでしたが、
そのうち2人が、わたしと同じ意見でした。
もちろん、「正解」があるわけじゃありませんが、
わたしとしては、もう、ここしかないと思うのです。
それは、2分28秒に1分10秒足したところです。
(いきなり「答え」の数字が目に入らないようにしてます!)
ここには、階級と、その底辺の、
暗く狭い空間に閉じ込められたシングル・マザー、アナが、
とても印象的に捉えられています。
しかもこれに続くのは、そのリバース・ショットで、
穴が下から階級を見上げています。

授業では、なかなかショット分析までいかないのですが、
もちろんこれもおもしろいですね。

Polina Osetinskaya

YouTubeを見ていて、
驚かされるような演奏に出会うことが時々あります。
実は数日前、
突然BWV1060をずいぶん聴いてないことに気づき、
無性に聴きたくなって、
家にあるCDを次々(と言っても4枚ですが)かけて聴きました。
ただ、それでも足りない気がして、
YouTubeで物色していたんですが、
その時たまたま、
BWV1052が目に入り、ちょっと聞いてみたところ、
なんというか、
聞いたことがないような演奏で、
最後まで聞いてしまいました。
これです;


音楽を語る語彙がないので、
うまく表現できませんが、
とにかく、聞いたことがないタイプに感じられました。
もちろん彼女の他の演奏もチェックしましたが、
やはりこういう感じの音でした。
たとえば、


この第一変奏を聴いただけでも、
何か違う気がします。

繰り返し聴いた時、
印象は変わってくるかもしれませんが、
今日の通勤の行き帰りは、
彼女の演奏を聞いていました。

『黒いスーツを着た男』

この映画については、
以前「ふらんす」に書きました。


この連載は1年間(12回)あったのですが、
中では、うまく書けた方だと自分では思いました。
で、
その後も授業で使っていて、
今日また、映画の解説をしたのですが、
上の文章を書いた時よりも、
かなり理解が深まっていると自分でも感じました。
まあ、何年も授業で扱って、
何度も何度も見て、
授業で使う解説をブラッシュアップしたきたわけですから、
当然と言えば当然ですが。

『最強のふたり』や『サンバ』も、
けっこう詳しいと想うのですが、
この『黒いスーツを着た男』も、
同じくらい詳しくなった気がしています。
でも授業以外、使いようもないんですけどね!


2024年5月9日木曜日

The Birds

大学院のゼミで、ヒッチコックの

『鳥』(1963)

を見てみました。(アマプラ無料)


この映画は、
わたしがこどものころは、
割と頻繁にテレビで放映されていて、
三回くらいはみた記憶があります。
ただもちろん、今は、違って見えます。
(当たり前!)

この映画は、
サンフランシスコ近郊のある海沿いの街で、
鳥たちが人間に襲いかかる様を描いています。
だたそこにはとてもはっきりしたきっかけがあるのですが、
それは、メラニーをいう女性の訪問でした。
彼女は若く、美しく、セクシー
(金髪で、真っ赤なマニキュアをして、比較的短いスカートを履き、
その身のこなしは、スカートから伸びた脚を強調する印象があります)で、
古い価値観など気にかけず、
どこでもタバコをふかし(1960年代です)、
気に入った男性がいれば自分から追いかけ、
単独行動を厭わない自立した人間です。
そんなメラニーが、
保守的で旧弊な街を訪れた時、
鳥たちは彼女を襲い、
さらには、彼女がいる街そのものを襲うのです。
1人の場合を除いては、
鳥たちが襲ってくる時、そこには必ずメラニーの姿があります。
(その例が的なケースは、
映画的な要請、
つまりパニック映画としての雰囲気の醸成のためたど考えられます。)
そしてクライマックスは、
メラニーの部屋のベッド(←もちろん記号でしょう)を占拠していた鳥たちが、
一斉に彼女に襲いかかるシーンです。
このシーンは、1分ほど続くでしょうか。
彼女が攻撃され、血を流して傷つく様子が、
延々と映し出されます。
明らかに彼女は「処罰」されています。

そしてラスト、
メラニーは、好きな男性の母親
(彼女は旧い価値観の擬人化です)
の肩にもたれかかります。
つまり彼女は、
旧い秩序に敗北したわけです……

この映画でのヒッチコック(←カトリックです)は、
陰惨なほど保守的です。
とてもよくできた映画ですが、
作品を貫く価値観は、そんな感じでした。

2024年5月6日月曜日

ヴァレリー・ムレジェヌ講演会

6月5日、日仏会館にて、

ヴァレリー・ムレジェヌ講演会「IJKL:今日アーティストであること」


が行われます。
参加無料です!


アーティストのサイト:https://valeriemrejen.com/

2024年5月5日日曜日

『捜索者』

1955年と言いますから、
『ゴジラ』の翌年に公開された西部劇、

『捜索者』

を見てみました。
以前見た時は、評判ほどおもしろいとは思わなかったんですが。


この映画は、
公開当時の評価は芳しくなく、
その後どんどん評価が上がっていた作品として知られています。
ジョン・フォード監督の代表作は『駅馬車』だとわたしは思いますが、
いや、『捜索者』の方が上だ、という声もあります。

舞台は南北戦争の3年後、つまり明治維新の年です。
(映画のラストは、その6年後。)
見ていて何となく思い出したのは、
この映画には、感情移入できる人物が見当たらない、ということです。
主役のジョン・ウエインはアウトサイダーなんですが、
元南軍の兵士で、矛盾した人間に見えます。
つまり、兄夫婦のいる「暖かい家庭」に帰還するくせに、
そうした生活や価値観には馴染まない態度だし、
コマンチに連れ去られた姪を救出(=家族制度を守る)しようとするものの、
そしてその過程では、
牧師兼隊長である人物(=共同体の規範を象徴)の命令に従うものの、
5年後、やっと見つけた彼女が、
コマンチの酋長の妻の1人になっていることを知ると、
彼女を殺そうとするのです。
もう白人じゃない、と彼はいうのです。
矛盾は、ふつうは魅力的なものです。
ただ彼の場合、それは魅力には感じられません。

とはいえ、すごく好意的に見れば、
彼は変化したとも言えます。
その後意見を変えた彼は、姪を連れ帰ることに賛成します。
また、コマンチの血が入っているという理由で毛嫌いしていたワカモノを、
自分の遺産の相続人に指名します。
学習はしているのです。
ただ、白人共同体 vs.「インディアン」という善悪の構図の中で、
彼の位置は中途半端です。
共同体に入らないのに、人一倍「インディアン」の殺戮に燃えているのです。

もちろん映画ですから、
風景の美しさや、
戦いの場面の迫力なども要素としてあるわけですが、
好きな映画とは言えません。
でも、教材としてなら、抜群かもしれません。

『パルプ・フィクション』

1994の映画、

『パルプ・フィクション』

久しぶりに見てみました。

この映画については、
もう多くのことが語られていて、
付け加えるような感想はないんですが、
改心するギャング、という、
いわば倫理的なテーマと、
いわゆる「不道徳」な表現との落差の大きさが、
今見ても相当なものだと感じました。
ブラクスプロイテーションの影響などが明らかで、
そちらに目が行きがちですが、
この映画の持つ倫理性を掘り下げた論文も読みたいと思いました。

2024年5月2日木曜日

2024年5月1日水曜日

『フォーリング・ダウン』

アマプラで、アメリカ映画、

『フォーリング・ダウン』(1993)

を見てみました。


妻と子供に去られ、軍関係の職も失った、
中年の白人男性ビル(マイケル・ダグラス)。
精神的に不安定な妻と2人暮らしで、
ヒスパニック系の女性部下に慕われている、
退職の日を迎えた白人男性ブレンダガス(ロバート・デュバル)。
物語は、別れた家族に会うことに取り憑かれたビルの、
さまざまな破壊的行動と、
彼を追うブレンダガス刑事の追跡劇、
ということになるのでしょう。
ただ注目点は、
ビルが襲いかかってゆく相手が、
アジア系、ヒスパニック系、
ホモフォビアのネオナチ、
不必要な道路工事を続ける工事人たち、
会員制ゴルフクラブの金満老人たち、
美容整形で財を成した成金、
であることなのでしょう。
中でも念入りに描かれるのが移民系の人たちで、
ビルが差別主義者なのは明瞭です。
特に、アジア(韓国)系のドラッグストアの店主は、
ブタの置物と一緒に映し出され、
さらに店のカーテンは黄色(←黄色人種)であり、
ビルの差別感情が濃厚に描かれます。
ビルは、自分の置かれた個人的・経済的状況を、
「構造的に理解」することができず、
目の前のもろもろを構造だと勘違いしている、という指摘もあります。
なるほどね。

日本でのキャッチコピーは、
「衝撃のパニック・アクション」
だったようですが、
全然違うような気が……

Gaza, Gaza, Sorbonne est avec toi !

フランスでも。

https://twitter.com/PalestineEmb/status/1785457545613840570

https://www.humanite.fr/societe/bande-de-gaza/blocage-de-la-sorbonne-en-soutien-a-gaza-une-intervention-de-la-police-en-cours


もちろん、Sorbonne だけではありません。

https://www.youtube.com/watch?v=qgB5pnmi-K8




反ユダヤ主義

「ほぼすべての人道組織が言っていることに同意するのは,

反ユダヤ主義ではない」

2024年4月28日日曜日

 『我らの生涯最良の年』

アマプラ無料の、

『我らの生涯最良の年』(1946)
(The Best Years of Our Lives)

を、久しぶりに見てみました。


制作年からも分かる通り、
戦後すぐに公開されたアメリカ映画で、
主な登場人物は三人の帰還兵です。
数年の従軍ののち故郷に戻った彼らには、
それぞれの事情があります。
なかなか良くできた、しかもおもしろい映画です。

そして見終わって思うのは、
登場人物それぞれにとって、
人生における the best years はいつだったのか、
いつなのか、いつになるのか、ということです。
それに答えるのは、簡単ではありません。
ワイラー監督は、
男性のファンタスムも描きこんでいますが、
それは現実ではなく、願望にしか見えません。

一番説得力のあるシーンは、
妻ともうまくいかず、やっと見つけた「つまらない」仕事も失い、
行くあてもなくなった帰還兵の1人が、
軍の、解体を待つ夥しい戦闘機が並ぶ飛行場を歩くところです。
この飛行機たちは、明らかにこの帰還兵、
そして多くの帰還兵たちの運命のメタファーに見えます。
ただその解体された飛行機は、
くず鉄になるわけではないというのが、
未来への可能性に開けているわけですが。
ただこれはあくまで可能性でしかありません。

広島も、Japも、出てきます。
当然ながらアメリカにも、戦後はあったわけです。

2024年4月27日土曜日

新しい人

野球の話です。

今年、ベイスターズのドラフト1位選手は、
オープン戦ずっと好調で、
新人ながら開幕スタメンを勝ち取り、
さらに、開幕1、2戦では、
とても印象的で華やかな活躍を見せました。
その後も、一度くらい? 活躍した試合がありましたが、
それ以外は結果が出ず、
厳しいインコース攻めに対応することもできず、
素人目にも、
体重が踵に乗っているように見えて、
打てそうな感じがありませんでした。
派手に活躍したシーズン初め、
パフォーマンスもまた派手だったため、
相手チームの反感を買ったんじゃないかというコメントも、
多く見られました。
まあ、たしかにたしかにそういうこともあったのでしょう。

そして今日、彼は打順が1番から8番に下げられました。
とはいえスタメンですから、やはり期待されている選手なのでしょう。
彼は2本ヒットを打ち、
(体もブレてないように見えました)
2アウト満塁で回ってきた第4打席、
大観衆が総立ちになるようなホームランを放ちました。
(わたしも見ていて、声が出ました!)
彼は小さくガッツポーズをして、
慌ててそれをやめて、
ほとんどニコリともせずダイヤモンドを一周しました。

その後彼がライトの守備につくと、
彼の名を叫ぶ大合唱が起こりました。
彼は、目を潤ませ、外野席にお辞儀をし、
それでもすごいコールは鳴り止まず、
先輩に促された彼は、
再び深々と、スタンドに向かってお辞儀をしました。

ヒーローインタヴューでも、
はしゃいだところはまったくなくて、
一昨日の、チャンスを潰した反省を述べ、
今日はやっと「ちょっと」だけ打ててよかった、
応援のおかげだと言って、
また目を潤ませていました。

打てなくて、辛かったんですね。
ファンたちは、気楽にああだこうだと言っていますが、
とてつもないプレッシャーだったんでしょう。
応援しないのは、ムリになってしまいました。
ガンバレ、ワカゾー!

大学院ゼミ

ゼミも始まって、初回は

『ピアノ・レッスン』

2回目は同じカンピオン監督の最新作、

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

を見て、色々話し合いました。

この2本、構造が似ています。
女性1人と男性2人のいわゆる三角関係が基本にあり、
さらに女性には子供がいて、
さらに男性二人は、それぞれ違う「世界」の属していて、
ピアノと繋がりのある女性は、
男性たちの2つの世界両方と関わり、
彼女の子供もまた、2つの世界と関わっていくのですが、
この母親と子供の、
2つの世界に対する関わり方は同じではない……
これらはみんな、2作に共通することです。

わたしは、『ピアノ・レッスン』の方がデキがいいと思いました。
何と言っても、ヒロインの魅力に差があるからです。
ただしこの作品、
ラストに置かれたシークエンスがいかにも蛇足で、
そこが勿体無いと思っています。
その、ヒロインが言葉を学ぶシークエンスがなければ、
ヒロインと一体化しているピアノの「音」は、
最終的には、言葉やその代用ではなく、
「沈黙」そのものに向かっていくものであることが、
きれいに描出されると思うからです。
でもそれにしても、いい映画だと思ってはいますけれど。

2024年4月22日月曜日

吉本隆明全集34

今、晶文社から刊行が続いている

『吉本隆明全集』

ですが、来週、34巻が出ます。
で、その巻の、月報を書かせてもらいました。


とても光栄です!

3年生たち

今日の「フランス語」の授業は、
主に3年生が履修してい流のですが、
人数も少ないので、
彼ら自身の興味と、
フランス関連の事柄を結びつけるようにして、
「雑談」の時間を長めにとりました。

まずはサッカー好きの学生。
これはもうたくさんありますね。
ジダンからアルジェリア、植民地主義、
ベルベル人、マルセイユ……
おもしろかったのは、
ムバッペはフランス人だけど、
両親は何人だと思う?
とこちらが訊いた時、
学生が皆、両親のどちらかはフランス人で……
と答え始めた事です。
そう、国籍=血統主義、という前提に知らず知らず立っているので、
そんな答えになるのでしょうね。
もちろん、出生地主義について話しました。
(日本の閉鎖性も。)

それから自転車部の学生。
彼はツール・ド北海道にも出たことがあって、
これは当然、Tout de Franceの話になります。

建築の学生は、最近瀬戸内海の豊島に行ってきたと。
アートの島ですね。
これは、数年前にワークショップをやった小豆島の思い出を。

アルペン・スキーのをやってる学生もいました。
で、往年のあの選手の話をしようと思って、
名前を思い出せなかったんですが、
なぜでしょう、
今はすぐに思い出せました、
ジャン=クロード・キリー、ですね。

学生たちは、ただ座っているとわからないけれど、
話してみると、
それぞれにいろんな活動をしています。
聞いていて楽しいです!

2024年4月19日金曜日

イラン

ウクライナもガザも、
まだまだ「解決」にはほど遠いのに、
イランとイスラエルの対立が、
2つの侵略を目立たなくさせつつあります。
これはある程度は、
イスラエルの意図でもあるのでしょうか。

イランは、ペルシャ語を話すペルシャ系で、
アラビア語を話すアラブ系ではありません。
(このことは、どうもよく誤解されているようです。)
また世界で、イスラム教<シーア派>を国教としている国家は、
イランだけです。

「イラン映画」は、いい作品がたくさんあります。
例えば、






近くて遠いのか、遠くて近いのか。
ペルシャ語が専門の知り合いは1人しかいませんが、
彼女の意見を聞いてみたいです。

2024年4月18日木曜日

Merci(s)


 なんだか裏表紙だけあげるっているのも品がない気もしますが、

『フラ語入門』を宣伝してくださってる白水社に Mille mercis を込めて。


(さて、Mille mercis ? それとも複数の s はいらない??

https://www.lalanguefrancaise.com/orthographe/mille-mercis-ou-mille-merci )

2024年4月16日火曜日

一回り

今日で、
今年度の担当クラス、一巡りしました。
まあ、例年通りの滑り出しと言っていいと思います。
いつもと違ったのは、
大学院の授業「映画と都市」の履修者が多かったことくらい。
(まあ、来週は少し減っていると思いますが。)

そして今日、
5年ほど前に退職された先生がたまたま大学にいらしていて、
久しぶりに、
以前よく一緒に行った蕎麦屋さんでランチしました。
26日に締め切りが!
と言っているあたり、
昔通りで嬉しかったです。

2024年4月12日金曜日

授業開始

学部の「フランス語」の授業と、
大学院のゼミ、
ともに水曜日から始まりました。

フランス語のほうは50人ほどで、
通常よりほんの少し少ないです。
でまあ、
最初の授業はいるもそうですが、
みんな緊張してるので、
ちゃんと聞いてくれてます。
少し発音練習もしましたが、
ちゃんと声も出ていて、
しかもわりと上手くて、
ひとまず安心です。

ただこのクラス、
一番前の2,3列はほとんど座っていなくて、
後ろの方は満杯です。
こういう座り方をしているクラス、
時に見かけますが、わたしのクラスでは珍しいです。
今後どうなるんでしょう?

でもとにかく、
職業病というか、
授業をやるとテンションが上がって元気になります。
1年生は1コマだけなので、
楽しみな授業です!

2024年4月7日日曜日

「ウザイ」はどこから

まあ、5分ほどで調べただけで、
間違ってるかもなんですが……

ウザイ、という語はよく耳にするし、
考えてみたら自分でもけっこう使ってる気もしますが、
今日、ふと、
語源は何?
と思って、検索してみました。
その結果は;

擬態語 うじゃうじゃ(こまかいものがたくさん)
  ☟
うざうざ
  ☟
うざっこい
(こまかいものが集まっていて煩わしい)
  ☟
うざったい
(昭和40年代、東京多摩地区の若者言葉)
  ☟
ウザイ

のようです。
大元が、うじゃうじゃ、だったとは!
そしてわたしたちは、
昭和40年代から50年代にかけて高校生だったので、
「うざったい」はめちゃめちゃ日常語でした。
それがいつか全国に広まり、
今のウザイにまで辿り着いたんですね。

なんだか、少し歴史に参加した気分です!

2024年4月6日土曜日

辞書

新学期に、学生に辞書について説明するときは、
薄っぺらいのじゃなければなんでもいいけど、
ただ、
古いのはダメ、
と言っています。
ママが使ってた、みたいな辞書を持ってくる学生が時々いるんですが、
もう、まったく使い物になりません。

もちろん今は、
ネット上にも辞書的なものはあるし、
わたしもよく使っています。
「ふらんす」4月号でも、いろいろ紹介されてましたね。

ただそれはそれとして、
ふつうの仏和辞典も確認したいので、

(というのも、例えばCNRTL

新語には強い wiktionnaire

なんかと仏和の比較もおもしろいです。
かなり違うことも少なくありません。)

わたしは電子辞書も持ち歩いているんですが、
やっぱりエアに入れた方が使いやすいので、
仏和辞典  for mac で探して、2つ買ってみました。
新学期で安くなっているみたいだったし。

でも、仏和辞典の新しいのを買うのは久しぶりで、
なんかフレッシュになった感じで、嬉しいです!
(紙の辞書は、わたしたち教員は、
献本してもらえることが多いので、「買う」機会はあまりありません。
ただこの頃は、あまりないかな。)

ぜんぜん回し者じゃないですが、
買ったのは、ここです。



2024年4月3日水曜日

まじめに

ここしばらく、
自分で言うのもなんですが、
とてもちゃんと仕事しています。
実は来年の初めに、
レナさんと一緒に参考書を出すつもりで、
早くもその準備を進めているのです。
レナさんもわたしも、
授業が本格化するとなかなか時間が取れないので、
春休みのうちにある程度進めておこう!
ということで気が合ったのでした。
去年の暮れあたりから、
メインのPCがマック・エアーになり、
勢いカフェでの仕事のしやすさも増したので、
長居しておかわりしたり、
夜行って閉店の時間までいたりしています。
閉店は、10時の店と、11時の店があります。

これくらい仕事をしていると、
ちょっとNHKの仕事をしていた時期を思い出します。
中でも、2010年の番組は、月〜木だったので、
あの時は人生で一番忙しかったと思います。
もちろんその時ほどじゃありませんが、
なんというか、集中の度合いが、って感じでしょうか。
でも、一度すごく忙しい時期を経験していると、
あのくらいまでは大丈夫、というのがわかっていいですね。

まだ10か月ほどありますが、
新刊を期待していただければ嬉しです!

2024年4月2日火曜日

新学期開始!

4月1日は、
恒例の大学院ガイダンスがありました。
今年の総合芸術系への入学者は7名。
私の研究室にも一人入りました。
一緒に頑張っていきましょう!

そしてわたしの研究室には、
博士課程の学生もいて、
今年彼は、博士論文を提出する予定です。
彼に博士号をとってもらうことは、
わたしにとっても、
今年度の大きな目標の1つです。

授業は10日からですが、
気分はもう「始まった」感じです。

2024年3月28日木曜日

ふらんす 4月号 発売!

さあ今年も、「ふらんす」の4月号が発売される時期が来ました。
今年度は、
レナさんと一緒に、

フラ語シンプル会話、こんな簡単に言えるんだ!?

を連載します。
レナさんが中心になって選んだ、
シンプルで、かつよく使われる表現を、
順番に紹介していく企画です。
みなさんご存知の定番表現から、
辞書に出てない、でも頻繁に使われる表現まで、
さまざまな言い方が登場します。
どうぞ、1年間、お付き合いください!

もちろんそれ以外にも、
楽しみは企画が目白押し。


さすが「ふらんす」というか、
「ふらんす」以外ではあり得ないラインナップです。

どうぞ楽しんでください!

2024年3月26日火曜日

『不適切にもほどがある!』の社会学

今日は卒業式でした。
(おめでとうございます!)
で、
その合間におしゃべりしていて、
上に挙げたドラマが話題になりました。
わたしは、主演の俳優をあまり評価していないので、
見ていませんでしたが、
一応、帰宅してから、第1話だけ見てみました。
まあ……

そしてその後ネット散歩中に、
これを見かけました。


12ページあるので、
ネット記事としては長めですが、
おもしろかったです。
図と地という捉え方も、よく理解できました。

2024年3月24日日曜日

Tu me manques...

明治大学の同僚で、
大好きだった杉山利恵子さんが、
今年の初めに亡くなりました。
ショック。
残念……

杉山さんと初めて会ったのは、
東京工業大学でのこと。
二人とも非常勤講師として、
大岡山に出講していたのでした。
(当時東工大には、
堀江敏幸さんも、黒田龍之助さんもいました。)
杉山さんとは、歳が同じっていうこともあって、
いろんな話をしました。
もちろん雑草派であるわたしと違って、
杉山さんはエリートでしたが。

そして2007年、
NHKから連絡があり、ラジオを仕事を依頼されたのですが、
後から聞いたところ、
杉山さんが推薦してくれていたことがわかりました。
当時すでに、教科書や参考書は出していましたが、
だからと言ってすぐにNHKから仕事が来るわけではありません。
NHKの仕事は、「割りがいい」というのとはほど遠いんですが、
でも語学教員として、経験値が上がることは確実で、
間違いなくやりがいのある仕事でした。
杉山さんのおかげだと思っています。
そしてそのラジオのすべての収録が終わり、
打ち上げに飲みに行った時には、
お花を持って駆けつけてくれました。
ありがたいですね……

その後、2008年にわたしが明治に着任し、
学部は違えど、杉山さんと同僚になりました。
で、何度か、
学内業務を一緒にこなし、
同じ方向なので、
一緒に電車で帰ったりしました。

杉山さん、早過ぎますよ。
一緒に退職したかったのに。
そして70歳同士で、
飲みにいきたかったのに。

どうぞゆっくりお休みください。
ありがとうございました。

Maurizio Pollini R.I.P.

院生時代、
ロックやソウルを聴いていたわたしが、
クラシックに集中してゆくきっかけになったCDがあります。
1984年、ポリーニが発表した、
シューマンの「交響的練習曲」です。

このアルバムは、何回聞いたか分からないくらい聞いて、
本当にガ〜ンとなって、
その後現在に至るまで、
聴く音楽の70%くらいはクラシック、
ということになっています。
その後コンサートでポリーニを聞いたこともありますが、
わたしにとってのポリーニは、
あのシューマンのアルバムで、
ポリーニはずっとヒーローです。

このマーラーは、
ポリーニと一緒に聞いている気持ちで聞いています。
43秒あたりです。


Maurizio Pollini R.I.P.

2024年3月23日土曜日

アディダスとドイツ

アディダス(と、おそらくはその兄弟会社であるプーマ)が、
ドイツにとってこれほど重要、
というか、
アイデンティティにまで食い込んでいるとは、
思っていませんでした。

2024年3月20日水曜日

Zoom 4時間 〜新企画

会議が連続したのではなく、
今日は、
レナさんとの二人での打ち合わせに、
4時間かかりました。
これは、ほぼ1年後の完成を目ざしている企画です。
これから、
今日の内容を踏まえ、
実際に書いてゆくことになりますが、
なかなか長い道のりです。
でも、なかなか良い内容になると思っています。
だいぶ先ですが、
期待していただけると嬉しいです!!

2024年3月19日火曜日

『ダムゼル』



この画像に惹かれ、
ふだんはあまり見ることのないファンタジー映画を見てみました。
ネトフリです。


ある豊かな王国があり、
そこでは代々、王子が嫁をもらうと、
最初の三人まではドラゴンの生贄に捧げるという、
恐るべき習慣が続いています。
そこに、
貧しい国の王女エロディが、
なにも知らずに嫁いでゆき、
でも!
ドラゴンを前にして覚醒する、
という物語です。
上のポスターは、もちろん覚醒後です。

やっぱり、子供向けの映画と言えなくはないけれど、
時間の流れがちょっと遅い気もするけど、
まあおもしろかったと思います。
アクションは控えめで、
それは見どころではないし、
また根本的な設定、
つまり、王国があって、
王と「民」という構造は所与のものだし、
その割には「民」は一人も出てこないし、
ドラゴンの思考は人間そのものだし、
といったことはあるんですけどね。

それでも、
ミリー・ボビー・ブラウンが覚醒してゆく流ればは、
それなりに説得力があるし、
やっぱり彼女の魅力が大きいんでしょう。

そうそう、ロビン・ライトの名前があったんですが、
これは見る前の予想通り、
豊かな国の女王でした。
またヒロインの母親役は、アンジェラ・バセット。
彼女が、白人世界に継母として参加しているのは、
良いキャスティングだと思いました。






『ザ・バンク 堕ちた巨像』

アマプラで見かけた

『ザ・バンク 堕ちた巨像』(2009)

を、見てみました。
インターポールの捜査員が、
NY検事局の検事補と協力して、
メガバンクの犯罪を暴こうと試みる物語です。


2009年の映画ですが、
古さもなく、リズムもスピードもいい感じで、
楽しんで見られました。
この頃のまでのものは、
今の雰囲気と変わらないものも多い気がします。

検事補役はナオミ・ワッツ。
彼女がクルマにはねられるシーンには驚きました。
そういったアクセントの付け方や、
緩急の配置などが、やはり上手いんでしょうね、
アメリカ映画の出来の良い作品は。

この頃は、
仕事をしている時間が長いので、
ついエンタメに走ってしまいます……が、
それもまたよしということで。

「どんな悪事もいいメロディに乗せると感動的になる?」

おもしろい!

2024年3月17日日曜日

『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』

ネット散歩中に、
たまたまこの記事を見かけました。

「映画館で見たいスター」トップ20の平均年齢は57.8歳!



で、この記事の意図とは別に、
ここに掲載されているランキングには、
ちょっと興味を覚えました。
そして唐突に、トム・クルーズが見たくなりました!

何か見てなかったトム・クルーズはないかと思って探してみると、
アマプラに

『ザ・マミー』(2017)

がありました。
公開当時、評判がよろしくなかった作品です。
『キングスマン』にも出ていた、
アルジェリア系フランス人のソフィア・ブテラが、
2000年の時を超えて現代に甦った、
古代エジプトの王女を演じています。


ちょっと変わった映画で、
アクション映画とゾンビ映画の合体でした。
ただわたしは、そんなに悪くないと思いました。
トム・クルーズは単純なヒーローじゃないし、
ゾンビもゾンビらしいし。
なぜあんなに不評だったんでしょう?
まあ、多くの人がトム・クルーズに期待するものとは、
違っていたかもしれませんが。

2024年3月13日水曜日

"Il ne faut pas hésiter à gifler un mec"

マチュー・カソヴィッツのテレビ・インタヴュー、
こんな記事になっています。


(『アメリ』出演俳優!?
それはそうですけど、
やっぱり『憎しみ』の監督でいいような。
あるいは、フランスの有名映画監督、で。)

で、この番組です。
1分30秒あたりからです。


フランスの記事はこれ。


この中でははっきりと、

c'est aussi à nous de rester attentif et d'intervenir 
quand on est témoin d'un comportement 
que l'on n'accepterait pas avec notre mère, nos soeurs.

と言っています。

陰謀論にしても

ブリジット・マクロンは男だ、という、
訳のわからない「物語」が再燃していると言います。




ほんとは、こんな風に相手にすること自体、
よくないのかもしれません。
ただここまで大きくなると、
無視するよりは、
冷静に突き放す必要があるかもしれません。

それにしても、
これが「陰謀」であり得る前提には、
同性愛嫌悪があるのでしょう。
それは、福音派を含むアメリカの宗教保守が共有しているものです。
ただ、ミッシェル・オバマに向けられた「陰謀論」なら、
その意図は明白ですが、
海の向こうのフランスの大統領夫人を「問題視」することが、
どれだけアメリカの保守の利益になるのか、
疑問が残ります。


2024年3月12日火曜日

『エージェント・ライアン』

去年の夏、
パリ往復の飛行機の中でずっと見ていたのは、
ドラマ「ジャック・ライアン」シリーズでした。
で、
「ジャック・ライアン」はいろんな俳優が演じてきたキャラなわけですが、
第四代目に当たるクリス・パインが演じた、

『エージェント・ライアン』(2014)

を見てみました。


なんというか、
ちゃんと作られていて、
安定して「おもしろい」もの、
を見たくなったからです。
監督は、今話題のケネス・ブラナー。
主人公の恋人は、キーラ・ナイトレイ。
『ベッカムに恋して』から、約10年経っています。


期待通り、おもしろかったです。
エンタメとして過不足ないし、
見せ場もあるし。

正直言って、
1ヶ月後には、
ほとんど内容を覚えていない気がしますが、
エンタメ映画としては、これで十分という気もします。

「ジャック・ライアン」、
初代から全部見てみたいけど、
どうしようかな。

2024年3月10日日曜日

『フューリー 闇の番人』

主演が Lina El Arabi で、
相手役が Marina Foïs で、
しかもどうやらアクションものらしいという、
意外な組み合わせが魅力的な、

『フューリー 闇の番人』(2024)

をネトフリで見始めました。
が……

つい最近見たAlphonse 同様、 
なんというか、ちゃちな感じ。
設定も馬鹿馬鹿しいし、
アクションなのかもわからないし、
そもそも、脚本も浅はかなのが致命的……

どうもこのところ、
「フランスもの」はハズレに当たることが多いです。
たまたまなのか、
わたしの選び方が悪いのか、
わたしの見る力が足りないのか、
フランスもののレベルが低いのか、
この中のどれかだとは思いますが、
どうなんでしょう?

Lina El Arabi は、これらが印象的でした;



後者の主演も彼女です。



JUDITH BUTLER - CONTRE L’ANTISÉMITISME

ジュディス・バトラーのインタヴューがありました。

https://twitter.com/ParolesDHonneur/status/1766370563461652710


YouTube にはインタヴューの全体があります。


総合芸術系には、「総合芸術特論」という、
オムニバス形式の授業があるのですが、
わたしの担当回では、
改めて、パレスチナ問題を取り上げて、
改めて、『オマールの壁』を見ようと思っています。

それはともかく、
1日も早く、
イスラエルが自らの愚行に気づくことを祈っています。
(あるいはバイデンのアメリカが、はっきり気づかせるか。)

2024年3月7日木曜日

Alphonse

アマプラに登場しているフランスのドラマ、

『アルフォンス』(2023)

を(途中まで)見てみました。
主演はジャン・デュジャルダン、
その妻役にシャーロット・ゲンズブールと、
配役は豪華です。
ヴァンサン・マケーニュや、
わたしの好き なLubna Azbal も登場します。
(彼女については、これを;

さて、
このドラマのアマプラでの公開は、
そもそも問題含みでした。
というのは、監督の Nicolas Bedot が、
セクハラの訴訟を抱えていて、


しかもこのドラマ自体、
金持ちで高齢の女性たちの相手をする男娼が主人公だからです。

とりあえず予告編を;


ジャン・デュジャルダン演じるアルフォンスは、
マザコンで、
父親に恨みを抱き、
今は妻に抑圧されています。
この彼が、父の後を継ぐような形で、
男娼稼業に乗り出してゆくのです。

今、全6話中2話しか見てないんですが、
なんだか、見続けてもなあ、という仕上がりです。
キャスティングを見て期待したんですが……

2月に予定されていた判決は、
9月に延期されたようです。

2024年3月6日水曜日

『Code 8』

トロントを舞台にしたカナダ映画、

『Code 8』(2019)

を見てみました。
(「2」がネトフリに登場したので、
ますは「1」をアマプラで見たわけです。)


少しX-Men と似ていて、
少数の超能力者が迫害される社会を舞台にしています。
となると、
この「超能力者」はなんの比喩なのか、
とつい考えてしまいますが、
明確に「これだ」と言えるような描写は見つけられませんでした。

おもしろくなくはないんですが、
X-Men に比べるとかなり小粒で、
物語も単線的。
主人公の最大の葛藤は、
母親の病気の治療のためのお金がない、ということなんですが、
これって、江戸落語の設定にさえよくあったやつですね。
そういう意味ではかなり古めかしいです。
なので、印象がB級なのでしょう。

でもわたしは、
手から電気を出す、
みたいな映画が好きなので、
OK とします!

『スポットライト』

もう10回以上は見た『扉をたたく人』。
その監督であるトム・マッカーシーの

『スポットライト』(2015)

を久しぶりに見てみました。
ドラマ『プレス』の中で言及があったのですが、
イマイチちゃんと思い出せなかったからです。


全米、いや、全世界に広がっていた、
聖職者による、小児に対する性的虐待。
その長く隠蔽されてきた構造を、
ボストンの新聞社が暴く物語です。

演出はむしろ淡々としたもので、
もっと「感情的」にするのは簡単だったでしょうが、
その辺はストイックな作りになっています。

アカデミー賞を取った映画だし、
悪くはないともいますが、
映画としては、まあまあ、くらいだと感じました。
(で、あまり印象に残ってなかったのでしょう。)

ちなみに、これもトム・マッカーシーです。

『人類の深奥に秘められた記憶 』

2021年のゴンクール賞を獲得した小説、

La plus secrète mémoire des hommes


を読んでみました。
日本語訳もしばしば参照しました。
それが、昨秋刊行された、

『人類の深奥に秘められた記憶』

です。
訳者は野崎歓さんですが、
いつもながら素晴らしい訳でした。
最後の解説も必要十分という感じで、完璧でした。
(解説に書かれていたことは、
わたしが感じたのとほぼ同じで、
何かちょっと安心しました。)

あらすじを書くのはなかなか至難なので、
Amazonの紹介文をコピペします;

********************************************

なぜ人間は、作家は、“書く”のか。
根源ともいえる欲望の迷宮を恐ろしいほどの気迫で綴る、衝撃の傑作小説!

セネガル出身、パリに暮らす駆け出しの作家ジェガーヌには、
気になる同郷の作家がいた。
1938年、デビュー作『人でなしの迷宮』でセンセーションを巻き起こし、
「黒いランボー」とまで呼ばれた作家T・C・エリマン。
しかしその直後、作品は回収騒ぎとなり、版元の出版社も廃業、
ほぼ忘れ去られた存在となっていた。
そんなある日『人でなしの迷宮』を奇跡的に手に入れ、
内容に感銘を受けたジェガーヌは、
エリマン自身について調べはじめる。
様々な人の口から導き出されるエリマンの姿とは。
時代の潮流に翻弄される黒人作家の懊悩、
そして作家にとって “書く”という宿命は一体何なのか。

***********************************************

まあ、これもまたわかりやすいとは言えませんが。

わたしは一般に、
小説家の出てくる小説、
演出家の出てくる芝居、
映画監督が出てくる映画、
は面白くないと思っています。
どんな形にせよ、
(つまり素直であれ歪んだものであれ)
そこには自己愛が横溢しているのが常だからです。
で、
この小説もそれに該当するので、
どうかなあ、とやや不安な気持ちで読み始めたのでが、
これがなぜか読んでしまうんですね。
主人公は、確かに、いわば昔風の「文学青年」なんですが、
大きいのは、さまざまな相対化がなされている点でしょう。
このおかげで、自己愛ズブズブにはならず、
むしろ引っ張られるように読み進めていけます。

……というようなわけですが、
それにしても、
久しぶりに読んだ強烈な小説なのは間違いありません。
1990年生まれの若い作家が、
ここまでのものを書くということに、
驚きを禁じ得ません。

セネガル出身の、
超優秀なワカモノにとっての、
パリのポスト・コロニアルな状況。
これはまだ古い問題ではないのでしょう。
この辺りは、特に力がこもっていると感じました。

テクニックとして、
いったいこれは誰のモノローグなの?
と思うことが何度かありました。
つまり、
ある人の視点からの文章の中に、
それとは違う視点の文章が投げ込まれているのです。
これは、おもしろい手法だと思いました。
その匙加減も絶妙だし。
(つまり、迷うけど、分かるわけです。)

でも結局最後まで読まされてしまうのに、
最も力を発揮したのは、
彼の物語ることのうまさなのでしょう。
400年前の『ドン・キホーテ』もそうでしたが、
突如挿入される「物語」が、
それ自体魅力的なのです。

オススメします。
















2024年3月3日日曜日

『プレス』

 アマプラにあるイギリスのドラマ、

『プレス』(2018)

を、同僚からオススメされたので、見てみました。
全6話のミニ・シリーズです。


結論から言えば、かなりおもしろかったです。
(回を追って、じわじわおもしろくなるタイプ。)

ロンドンの、2つの新聞社。
ヘラルドとポスト。
前者は良識派で、でも売り上げは上がらず、資金もない。
後者は扇情的なタブロイド紙で、資金もコネも十分。
この構図の中で、
2者で働く人たちの揺れを描いてい行きます。
まあ、ジャーナリズムものですから、
いわゆる報道の倫理のほうなものも、
強く問われています。

人物の配置は、分かりやすく対照的です。

     ヘラルド             ポスト
編集長  アジア系女性           ヨーロッパ系男性
副編集長 ヨーロッパ系女性(主役)     アジア系男性
若手記者 ヨーロッパ系女性         アフリカ系男性

コアなメンバーについて言うなら、
ヘラルドは全員女性で、ポストは全員男性です。
(もちろんチームは大きいので、
そこまで含めればもっと複雑です。)

印象に残ったのは、
二人の編集長です。
ポストの編集長ダンカンは、
実質的な主役とさえ言えるかもしれません。
なぜなら彼が、もっとも多くの屈折を抱えているからです。
(それに比べると、表面上の主役であるホリーは、
行動派で思慮も深いけれど、
とても分かりやすい人物として描かれているように感じます。)
ダンカンは、首相とも対等な権力者で、
仕事中毒で、
離婚し、
愛する子供にはなかなか会わせてもらえず、
美しい愛人がいます。
お金もあります。
そして彼の仕事上の非情さは、
息子への悲しい愛と矛盾しているように見えます。
ここに、ダンカンという人間がいるようです。

小さなことですが、
ポストの副編集長は映画ファンらしく、
映画に関わるセリフが何度かあります。
笑ったのは、
鉄鋼王のスキャンダルについて話しているとき、
ダンカンに、その man of steel は誰なんだ、と訊かれた時です。
副編集長は、
「クラーク・ケント?」
と答えるのです。
これですね。


もちろんダンカンは、うんざりした表情をするわけです。
イギリスだなあ、と感じたのでした。

2024年3月1日金曜日

Moi, chef.fe d’orchestre ?

もう5年以上前ですが、

マルケスの 

について書きました。

https://tomo-524.blogspot.com/2016/01/danzon-no-2.html

で、このヴィデオの指揮者である、

アロンゾ・デラ・パーラが登場しているインタヴューがありました。

https://www.youtube.com/watch?v=SYE6OaZw91s&t=851s

これはおもしろかったです!