2008年7月4日金曜日


今日昼ごはんの後、「総合文化教室資料室」という名の「憩いの場」でお茶を飲んでいるとき、火曜に合同ゼミをやった仲間のH先生が、ロン・ミュエクの作品集を見せてくれました。わたしが、かつてとても驚かされたのは、彼の「ボーイ」という作品(写真)。この「ボーイ」、もちろん作り物。ミュエクが作るものはいつも、大きすぎるか小さすぎる。そしてもちろん、それが面白い。どんなに精巧であっても、人間と等身大だったら、こんなインパクトはなかったでしょう。

その作品集をパラパラめくっていると、中に、制作風景を紹介する写真がありました。それを見てハッとしたのは、作品がどうしようもなく「手作り」だったから。なんというか、まず人物の形を、輪切りにした木を串刺しにして作り、そこに板を張り、それから粘土を塗りつけてゆく。仕上げの加工を除けば、それは正真正銘「手作り」なのでした。

で、その2時間後……

わたしは30人ほどの会議に出ていました。その中で、ある機械工学の先生が、やや苦笑交じりに話し始めました。

「わたしたちは、要はモノ作りを教えてるわけだし、学生たちもモノ作りが好きできてるはずなんです。でもね、最近は、時計を壊したこともない、粘土もあまり捏ねたことがないって学生が、結構いるんですよ。だからね、1年の最初に、手でモノを作る感覚を教えなきゃならないんです。粘土から始めるんです!」

おお、ここにもミュエクの仲間が! やっぱり、手を使うのは大事なんですね。美しいノーガキもいいけれど、手を使って、現実を(まさに)肌で感じることがないと、いい仕事なんてできないんですね。

朝起きたときには、考えもしなかった場面が重なり、「じっと手を見」た今日でした!