2008年9月11日木曜日

群集


東京は人が多い、って言いますね。まあこの場合の「東京」は、渋谷や新宿を意識しているんでしょう。それならもちろん、人は多いと思います。

前期の「東京詩」のゼミでは、たくさん詩を書いてもらいましたが、その中に、新宿の人ごみをただ足元だけを見つめて歩く、という感じの作品がありました。上京して1ヶ月くらいで、まだちょっと戸惑いもあったのでしょう。

この前の打ち上げも場所が渋谷だったので、ちょっとそんな話になりました。

「まったく、なんでセンター街っていつもあんなに混んでるの!」
「傘なんか差してたら歩けやしないし!」

というわけです。が、実はわたしの意見は違います。わたしは人ごみが好きです。

「毎日じゃないからですよ、そんなお気楽なこと言えるのは」

まあね、そうかもしれませんが…… 

ではここで、強い味方を2人、呼んでみましょう。まずは、萩原朔太郎です。

私はいつも都会をもとめる
都会のにぎやかな群集の中に居ることをもとめる
群集はおほきな感情をもった浪のようなものだ
どこへでも流れてゆくひとつのさかんな意志と愛欲とのぐるうぷだ

同意!(と2チャンネル風) 二人目は、この朔太郎の心の師匠とも言うべき、ボードレールです。

群衆に沐浴(ゆあみ)するというのは、誰にでもできる業(わざ)ではない。群衆を楽しむことは一つの術(アール)である。

Il n'est pas donné à chacun de prendre un bain de multitude: jouir de la foule est un art...

言っておきますが、そういう技術がオレにはあるんだぜ、みたいなことが言いたいわけでは全然ないですよ。ただ、「群集」派のわたしとしては、大学生の頃このフランス語に出会って、おお、と思ったのはほんとですが。

朔太郎やボードレールがセンター街を歩いたら、なんて言うんでしょうねえ? みなさんはいかがですか? 人ごみは苦手ですか?