2024年8月15日木曜日

8月15日

わたしが予備校に通っていた頃、
飛び抜けて人気のある英語の先生がいました。
たまたまわたしのクラスは、
彼の授業がもともと組み込まれてい単ですが、
その授業だけは、
大量のモグリ
(と言っても同じ予備校の生徒なので、特に問題ないんですが)
が発生したものです。

彼はの授業は確かにたくみで、
イディオムの整理の仕方もうまかったと記憶しています。
また雑談も、エンタメとしてのおもしろさはありました。
その時代なので、今ならアウトの下ネタも結構ありましたが。

彼の話の中で、
1つ、とてもよく覚えているものがあります。
田舎育ちの彼が、
戦争中のある日、田んぼの間の小道を歩いていた時のこと、
遠くから爆音が聞こえ、
それがみるみる近づいてきたのです。
彼は走って逃げましたが、
まるでドラマみたいに、道の真ん中で転んでしまいました。
爆音は近づき、もうだめだ、と思ったそうです。
そして振り返ると、
B29が、自分目掛けて降下してきます。
彼は身動きできず、
じっとB29を見つめました。
「目が合ったんだよ、パイロットと」
そしてB29は、高度を上げると、凄まじい轟音と共に、
彼の上を飛び去って行ったのです……

田舎の少年1人を撃ち殺しても、
戦争の帰趨に影響はないでしょう。
ただそんなことより、パイロットは人間だった。
そのパイロットのおかげで、
わたしたちはその先生の授業を受けられたわけです。

それにしても、
もっと、もっと早く降伏していれば、
何十万という命が救われたのに、
と思わずにいられません。
もちろん、そもそも開戦しなければよかったのですが、
せめて、インパール作戦の前に。