今週見た Prêt à tout のヒロインを演じたのは、
アイサ・マイガでしたが、
彼女が出ているというので見てみたのは、
『ロシアン・ドールズ』
です。
この作品は、セトリック・クラピッシュ監督による、
いわゆる「グザヴィエ青春3部作」の第2作に当たります。
個人的には、第1作の『スパニッシュ・アパートメント』が、
あまり好きではなかったので、
今日まで敬遠していたのでした。
(クラピッシュ監督は、基本的には好きなんですが。)
https://www.youtube.com/watch?v=gx0OpbWcfic
で、見始めると、
どうして第1作が好きになれなかったのか、
すぐに思い出しました。
それはとても単純で、
主人公の甘々の言動に対して、心情的にシンクロできない、
ということに尽きます。
この第2作も、前半はまったくそんな感じなんですが、
後半、彼の軽薄さが、周囲の女性たちによって、
あるいは自己省察によって、
多少とも相対化されるようになってからは、
見やすくなりました。
そしてその結果、
主人公と監督の(いい意味での)位置のズレが意識され、
さらに見やすくなりました。
主人公のニヒリズムは浅いのですが、
そういう風に描いているのね、という感じ。
これなら、最近DVDになった第3部、
『ニューヨークの巴里夫』Casse-tête chinois も見てみようかと思います。
(しかしこの邦題って……)
さてアイサ・マイガですが、
彼女はマリ系の父親と、セネガル系の母親を持ち、
4歳の時にフランスに移住したようです。
出演作は少なくないのですが、
わりと脇役が多くて、
今回の場合も、グザヴィエが最初にナンパし、
寝はしたものの、
結局はほとんど関係が深まらずに終わる役でした。
(ただ「未公開シーン」を見ると、
二人は数か月、蜜月だったことになっていますが、
本編からはそれもわからず。)
もしかしたら、Prêt a tout が1番大きい役かも?
そしてこの『ロシアン・ドールズ』で目立っていたのは、
セシル・ド・フランス。
(と思ったら彼女は、この映画で賞を取っていました。)
彼女の場合は、わたしには
http://tomo-524.blogspot.jp/2013/10/mauvaise-foi.html
の印象が強烈なので、
まったく別の女優さんにさえ感じられました。
それだけ、演じ分けられるということなんでしょう。
(なににでても同じ、という俳優もいますね、良くも悪くも。)
というわけで、何のかんだいっても、
いろいろ言いたくなる映画ではあるのでした。
特に、ある種のロード・ムーヴィーだと思えば、
よりおもしろいと感じられるかも。
とはいえ、「真実の愛」を求めてさまよう若者の話ですから、
おのずと限界はあるかもしれませんが。
*1つ気になるのは、
たくさんいる登場人物の中で、
たった一人のアラブ系であるジヌディーヌ・スアレムが、
これ以上ないくらい「平凡な人」として描かれていることでした。