Le Tueur(殺し屋)という映画を見てみました。
監督のセドリック・アンジェ、
主演のグレゴワール・コラン、
二人はともに1975年生まれの、若いコンビです。
https://www.youtube.com/watch?v=4WZlWta6-TQ
ただわたしが見てみようと思ったのは、
もう一人の主役がジルベール・メルキで、
さらにはメラニー・ロランまで出てるからです。
ユダヤ人であるメルキは、
『イブラヒムおじさん』でのモモの父親など、
基本、ユダヤ人の役を演じています。
メラニーは、たとえば
http://tomo-524.blogspot.jp/2013/10/je-vais-bien-ne-ten-fais-pas.html
が、わたしには印象的でした。
彼女もユダヤ人のようですね。
(wiki 情報なので、100%ではないですが。)
この映画、登場人物は少なくて、
まずは、レオ・ジネルマン(メルキ)。
彼は投資信託会社でいいポジションにいて、
8歳の娘がいます。
ただ、奥さんは、彼の同僚と浮気中です。
二人目が、殺し屋であるディミトリー・コーパス(コラン)。
孤独な彼の素性は、はっきりとは語られません。が、
おそらく母親は娼婦で、
父親は誰だかまったくわからない、
という育ちのようです。
(母親から、これが父だと説明されていた軍人の写真は、
安物の写真立てにもともとついていたオマケであることが、
あとからわかってしまいます。)
そして
そして三人目が、「エスコート・ガール」であるステラ(ロラン)。
彼女は、ディミトリーと関係します。
で、物語ですが、
成功者であるレオのもとに、
どうやら彼に大損させられたらしいライバルが、
殺し屋を送り込むのですが、
レオはいち早くそれに気づき、
自ら進んで、この殺し屋に交渉します。
土曜まで待ってくれ、
それまでに大きな契約がある、
それが終わったら、
一思いにやってくれ……
この奇妙な申し出を、ディミトリーは受け入れることにします。
<以下、ネタバレあり>
レオは、実はなんらかの病気で、
余命いくばくもない状態でした。
(性的に不能でもあります。)
だから、殺し屋にあんな提案をしたのですが、
そのとき言った「大きな契約」とは、
仕事上の、ではなく、
娘に遺産のほとんどを残すという遺言書の作成のことでした。
そして、この「執行」延期のため、
レオが雇ったのがステラで、
彼女はディミトリーに近づき、
土曜まで、時間を忘れさせる役割を与えられたのです。
けれどもこの二人は、
なにか深いところで共鳴し、
最終的には、「恋」に落ちることになります。
少なくとも、ディミトリーのほうは。
クリスマスの晩、
一家で夕食を済ませた後、
レオは自ら、ディミトリーのもとに向かいます。
仕事は、果たされます。
ただ殺し屋は、その後、
レオの妻の浮気相手も、殺しにゆきます。
それはレオが、自分が死んだあと、
あいつが娘を育てるのは耐えられない、
と言っていたから。
これは、彼の中に、
「心」が芽生えたのか、あるいは、
ステラとめぐり合わせてくれた礼なのか、あるいは、
その両方か、でしょう。
ラストで、ディミトリーはステラに手紙を書きます。
その結びは、スペイン語でした。
これが何を意味するのかは、あいまいです。
また、レオやステラがユダヤ人である「徴」は、
特に示されませんでした。
(レオの姓は Zimmerman ですが。)
そして最後に特筆しなければならないのは、
モルヒネが効かなくなっているレオが、
あの13区の中華街、オランピアド地区、
そのまたオスロ商店街を抜けたところにある寺院の地下で、
あやしげな麻薬を注射してもらっている描写です。
オスロ商店街がこんなにはっきり出てきたのには、
とても驚きました。