2015年4月27日月曜日

Les Aventures de Rabbi Jacob

先週見た『ジゴロ・イン・NY』の中では、
ブルックリンのユダヤ人社会が背景にありましたが、
それを見ていて、
思い出した映画があります。
ルイ・ド・フュネスとジェラール・ウーリのコンビによる、

Les Aventures de Rabbi Jacob (「ラビ・ジャコブの冒険」)

です。
これは以前見たのですが、
もう1度見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=vtia-qb2vhI (全編版!)

タイトル・ロールであるラビ・ジャコブは、
やはりブルックリンのユダヤ人コミュニティーにいて、
そこから、
甥のバル・ミツバーのために、
もう一人のラビと一緒に、パリに向かいます。

ただ、このドタバタ喜劇の主人公は、
実は本物のジャコブではなく、
彼と入れ替わって「にせジャコブ」となる工場主、
ヴィクトールのほうです。
ルイ・ド・フュネスが、このヴィクトールを演じます。

物語は、3つの流れがあります。
まず、パリの、ロジエ通り8番地へと向かうジャコブたちの道中。
そして、ヴィクトールの娘が、今日結婚式を挙げるため、
家族がそこに集合する道程。
3番目が、あるアラブ人グループが、
もう一人の(次期首相を狙う)アラブ人の殺害を目指しての奔走。
この3つの流れが、人物の入れ替わりによって絡み付き、
思わぬ展開を示すわけです。
もちろんドタバタですから、
深刻な感じはゼロで、
さまざまなコネタも挟まれています。
それでも、そのコネタの中には、
民族や階級に関わるものも少なくないのですが。
(ロジエ通りは、現実のロジエ通りではなさそうです。)

「にせジャコブ」は、いわば資本家で、
人種差別主義者(の戯画)です。
彼が、排気ガスによって顔中真っ黒になり、
その結果黒人に間違えられるくだりは、
その戯画的な感じが典型的に表現されていました。
またいくつかの場面からは、
「共生」への賛意が見て取れました。

1973年の作品で、
フランスにおける「ユダヤ人映画」としては、
久しぶりに作られたものでした。