今日は、まあ広めの意味では「ラヴ・コメ」とも言えそうな、
Prêt à tout
を見てみました。
これは「すべてに対して準備ができている」から、
「成功のためにはなんでもする、どんなことにも耐える」
を意味するようです。
https://www.youtube.com/watch?v=7dmRvUeAG78
言ってしまえばB級なんですが……
30歳のマックスは、
友だちと作った「出会い系サイト」が当たり、
それを大手が買収してくれたおかげで、
あっというまに大金持ちに。
でも、そうしてタイで遊んでいたある日、
労働運動を展開するある女性をテレビで見かけます。
彼女こそ、彼が大学時代にフラレ、
けれども忘れられないアリスその人でした。
マックスはフランスに戻ると、
なんと、アリスが働く倒産寸前の工場を買い取り、
自身もそこで働くことにします。
(新オーナーであることは伏せたまま。)
で、彼女と仲良くなりたい一心で、
工場の労働環境を良くしたり、
彼女の一人息子を可愛がったりしますが、
彼女はなかなか、彼の気持ちに気づいてくれません……
ポイントは、
マックスがヨーロッパ系フランス人で、
アリスがアフリカ系フランス人であることでしょう。
彼女は、初めて対面したある男性から、
もっと明るい肌なのかと思っていた、
などど言われたり、
かわいそうなアフリカ、という文脈で
(現実を無視して)話しかけられたりします。
物語の中でも、
一緒に子供を持ったヨーロッパ系男性が、
これは子供なんか欲しくなかったんだよ、と言って、
離れてゆき、
その結果、シングル・マザーとなったアリスは、
大学を辞め、工場で働かざるを得なくなります。
マックスは、
良くも悪くも無邪気ですが、
まあこの場合、無邪気はもどかしいです。
この映画がB級なのは、
マックスが億万長者である点が大きいでしょう。
(『最強のふたり』も、だから、エンタメから出てゆきにくいのでしょう。)
元の工場のオーナーがユダヤ人だったり、
そこにマイク・ブラントを絡ませたり、
細かな演出もあるんですが。
そう、小さなことで印象に残ったのは、
大学生たちのなんでもない会話の中に、
altermondialisme
という単語が、まさになんでもない感じで使われていたことです。
これは、これです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0
日本では、まだ会話の中で聞く機会はごくまれです。
(英語の、オルタ・グローバリゼーションにしても、
わたしはあまり聞きません。)
このへんは、ちがうなあと感じました。