2015年4月30日木曜日
Fausto
今日見たのは、
Fausto (『ファウスト』)1993
です。
これはあのゲーテの『ファウスト』とは無関係で、
主人公の名前(発音はフォスト)から来ています。
フランス語版が入手できなかったので、
英語字幕版(A la mode というタイトル)で見ました。
映画の始まりは、1964年。
このあと1~2年ほどが時間的舞台です。
自転車事故で親を失くしたフォストは、
パリの孤児院に入ります。
彼はそこで、無二の親友となるレイモンと出会い、
二人は、それぞれ「徒弟」に出ることになります。
フォストは仕立て屋に、
レイモンは町の自動車修理工場に。
そしてこれが、ともにユダヤ人街サンティエ地区にあり、
二人の働いてる先は、
ともにユダヤ人が切り盛りしています。
フォストの主人は気のいいおじさんで、
結局は、フォストを息子のようにかわいがります。
(この辺、『サンドイッチの年』を思わせもしますが、
フォストはユダヤ人ではなく、イタリア系なので、
そこが決定的に違います。
レイモンも非ユダヤ人です。)
フォストはやがて、ファッション・デザインに目覚め、
その仕事に喜びを見出すようになります。
そして、レイモンが働いていた工場の娘と恋に落ち、
ついには結婚することにもなります。
ユダヤ人社会に入った2人の若者、
ということになりますが、
そのあたりがはっきり前景化するのは、たとえば、
コシェールの肉屋で働き始めたレイモンが、
「お客さんがみんなおれの<毛鉤>を注視してるみたなんだ。
おれも、割礼したほうがいいかなあ」
と相談する場面でしょう。
あるいは、フォストのプロポーズを、
ユダヤ人のしきたりにのっとり、
仕立て屋の主人が代わりに行う場面とか。
明るく、にぎやかな青春映画ですが、
やはり、背後のユダヤ人社会があるからこそ、
魅力が増している気がします。